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部屋を飛び出し、今すぐこのキャバクラを辞めたいところではあるが、挙動不審な行動をとるわけにもいかず。
私は手の震えをグッと抑えて再び前を向き直した。
蘭「……」
『!』
そこでまとめ髪の方、灰谷蘭と視線が交わる。
驚いてすぐ逸らしてしまった。
『(あ、やば、あからさまに逸らしちゃった。)』
更に心拍数が上がる。怪しかっただろうか。
蘭「その子、新人さん?」
『!』
オーナーの話を遮って、質問をした。
この場に居る新人は私一人だけ。
オーナー「そうです!2週間ほど前から勤めていて……礼儀正しいし、とてもよく働いていて…」
またうだうだと話し出すオーナーを無視して、私の方へ近づいてくる。
((コツコツ…))
近づいてくる革靴の音に恐怖すら感じる。
『(な、何!?なんでこっち来るの!?)』
そして、ジーッと私の顔を覗き込んだ。
挨拶をした方が良いのか、悩んでいると口を開く。
蘭「へぇ、綺麗な子じゃん。」
『えっ?』
竜胆「それ俺も思った。」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
オーナー「!、お気に召して頂いたようで光栄です!ほら、A、早く挨拶を」
蘭「お前さっきからうるせぇよ、黙ってろ。」
「「!!」」
突然発された低い声に、周りが静まり返る。
オーナーも顔を真っ青にして固まっていた。
灰谷蘭は打って変わって柔らかい笑顔でこちらに向き直る。
蘭「ね、名前なんて言うの?」
これは、名乗って大丈夫なのだろうか。
でも断ったらそれこそ終わりな気がした。
『ち、千歳A……です…。』
蘭「Aちゃん、ね。よろしくね。」
『あ、はい…』
スっと差し出された手をぎこちなく握り返す。
『(挨拶って……こうゆう感じなのかな…?てか怖すぎ…)』
灰谷蘭はパッと振り返り、声をかけた。
蘭「竜胆、今日飲んでいかね?」
竜胆「いいね。」
蘭「って事で、いいよな、オーナー。」
オーナー「は、はい!勿論でございます!」
怯えながら答えるオーナーに満足気に微笑む。
蘭「じゃーもう今日、解散。」
「「し…失礼します。」」
声がけを合図に、キャバ嬢たちは一礼して退席した。
私もそれに続く。
『失礼します…』
蘭「Aちゃん、またね〜。」
ヒラヒラと手を振られた。
何故私だけ名指しなのかは気になったが、考えるのも怖いのでぺこりと頭を下げて逃げるように部屋を出た。
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名無し43687号(プロフ) - この作品が好きで何度も読み返していたのですが先程プリ小説と言うアプリで主様の作品と凄く似ている作品を見かけました主様はこのアプリ以外でこの作品と同じものを書いたりしていますかт т (9月19日 21時) (レス) id: 2b8f1abd53 (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - 桔梗さん» ツイステに留まらずこの作品も読んでいただきありがとうございます!作者として認知頂けるの嬉しいです…泣。更新頑張ります! (2022年2月15日 23時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - めちゃくちゃ面白い作品誰が書いてらっしゃるんだろあと思ったらfull.様じゃないですか!驚きました!この作品もすごく面白いです!さすがとしか言いようがない、、!これからも更新楽しみに待ってます! (2022年2月15日 2時) (レス) @page40 id: cf40087a4e (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - 彼方さん» 彼方さんありがとうございます!!もっと楽しんでいただけるよう更新頑張ります! (2022年2月14日 18時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年2月14日 16時) (レス) id: 753b80d584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:full. | 作者ホームページ:http://utanai.nosv.org/u.php/hptyomatu/
作成日時:2022年2月11日 22時