私、普通のキャバ嬢です。【東リべ】

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※血の表現有り


2回目、エミさんに叩かれた。
頬が痛い。


『(これどうしよ……早く戻らないといけないけど…騒ぎにはしたくないし…)』


私が先程から黙って下手に出ているのはこれが理由だった。
本当なら叩き返してやりたい。でもそうしたらエミさんはどんな行動に出るか。

せっかく癒しや休暇を求めて来てくれているお客さんに、こんな無様な姿を晒したくなかった。


『(もう…！竜胆さんたち待ってるのに…！)』


そう思った瞬間、エミさんの手がこちらに伸びてきた。


エミ「聞いてんのかよ！！」


((ブチッ))


『………あ。』


突然首の後ろに走った衝撃。
エミさんの手に輝くそれ。


『………返してください。』

エミ「はぁ！？」

『ネックレス返してください！！』


今まで我慢していたのに、ちぎられたそれを見た途端に涙が出てきた。


エミ「あはっ、何泣いてんのアンタ！」


悔しい。こんなとこで泣きたくないのに。
でも、これだけは許せない。


『返してください！！』


((バタンッ!!!!))


私が叫んだその瞬間、フィッティングルームのドアが勢い良く開かれた。


『！』

エミ「！」


驚いてドアの方を見ると、息を切らした三人が目に映る。



蘭「Aちゃん……泣いてるの……？」

『ら、蘭さん？何でここに…』

蘭「お前が…泣かせたの？」



蘭さんの視線がキロリとエミさんに向く。



エミ「ら、蘭さん…なんで……その、これはっ」

蘭「竜胆。」

竜胆「……((ﾊﾞｷｯ」

杏奈「キャッ！」


竜胆さんが思い切りエミさんの顔面を殴った。
エミさんは叫ぶことも無く床には倒れ込み、1発で気絶した。


『竜胆さ…』

竜胆「((ﾊﾞｷｯ…ﾄﾞｺﾞｯ」


竜胆さんはなお殴ることを止めない。
返り血が、ピシャッと竜胆さんの頬に跳ねた。
杏奈が二人の後ろで真っ青になっている。


『竜胆さん！』


私は竜胆さんに駆け寄った。


『私もう大丈夫ですよ！』

蘭「Aちゃんは黙って見てろ、な？あ、それか見るの嫌だったら後ろに隠れてていーぜ？」

『で、でもこれじゃエミさん死んじゃう！』

蘭「死んだっていーだろこんな女。」

『っ！』


これは多分、比喩とかではなく、本気のやつだ。


『竜胆さん…』

竜胆「((ｺﾞｯ」

『竜胆さん！！』

((ギュッ))

竜胆「！」


後ろから抱きしめると、竜胆さんは動きがピタリと止まった。

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