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『失礼します…』
消毒液で傷口を拭いた。
『ちょっと染みます。』
三途「っ、……」
絶対痛い筈なのに、三途さんは声のひとつも漏らさず、文句も言わなかった。
消毒液で濡れたガーゼがみるみるうちに赤く染る。
『(うわ、出血が酷い……よく今まで我慢してたな。)』
昨日の夜から怪我していたのなら、余計に放置していては危ないくらいの傷だ。
三途「三途…春千夜。」
『えっ?』
三途「そう言えば、名乗ってねぇだろ。」
『あー、でしたね。』
まぁ、知ってるんだけどね。
三途「……」
『………よし、あと新しいガーゼ巻きますね……あ、でも多分すぐ血で染っちゃうから換えのやつも用意しときます。』
三途「お前さぁ……本当イカレてんな。」
『えっ』
急に罵倒された。というかそれはこっちのセリフなのだが。(2回目)
三途「普通、逃げ出すとか警察呼ぶとかしねぇわけ?」
『え、逆にしていいんですか?』
三途「は?殺すに決まってんだろ。」
『ほらやっぱり…!』
三途さんが拳銃持ってる以上、なるべく波風立てないように動くしかない訳で。
『よし…手当て終わりました。これ、換えの包帯一応持ってって下さい。』
三途「……要らね。」
『えっ…』
三途さんは立ち上がり、上着を羽織った。
どうやら帰宅するらしい。
スタスタと玄関まで歩いていく。私も一応見送った方が良いかと思って後に続く。
((ガチャ…))
玄関の扉を開けた。
『気をつけてくださいね、三途さん。』
そう言うと、ピタ、と動きが止まって、こちらを振り向く。
三途「春千夜。」
『え?』
三途「苗字呼びは嫌いだ。」
『あ…ごめんなさい……』
そう言うと、またこちらをジーッと見る。
これは、呼べということだろうか。
『春千夜…さん…』
三途「ん……じゃあな、A。」
『!』
((バタン))
三途さんが出て行った。
私はその場にペタリと座り込む。
『はぁ……』
やっと緊張が解けたのだった。
『何とかポーカーフェイスしてたけど……銃向けられた時はどうしようかと思った……』
バクバクと心臓がまだ鳴っている。
それもそのはずだ、命の危機と直面していたのだから。
ここ最近で三人もの梵天メンバーと出くわしてしまった。
でももう春千夜さんとは会わないし、その点は安心出来る。
本当に殺されなくて良かった。
『最後……名前、呼ばれた…』
安堵と疲労感で、暫く動けなかった。
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名無し43687号(プロフ) - この作品が好きで何度も読み返していたのですが先程プリ小説と言うアプリで主様の作品と凄く似ている作品を見かけました主様はこのアプリ以外でこの作品と同じものを書いたりしていますかт т (9月19日 21時) (レス) id: 2b8f1abd53 (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - 桔梗さん» ツイステに留まらずこの作品も読んでいただきありがとうございます!作者として認知頂けるの嬉しいです…泣。更新頑張ります! (2022年2月15日 23時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - めちゃくちゃ面白い作品誰が書いてらっしゃるんだろあと思ったらfull.様じゃないですか!驚きました!この作品もすごく面白いです!さすがとしか言いようがない、、!これからも更新楽しみに待ってます! (2022年2月15日 2時) (レス) @page40 id: cf40087a4e (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - 彼方さん» 彼方さんありがとうございます!!もっと楽しんでいただけるよう更新頑張ります! (2022年2月14日 18時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年2月14日 16時) (レス) id: 753b80d584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:full. | 作者ホームページ:http://utanai.nosv.org/u.php/hptyomatu/
作成日時:2022年2月11日 22時