第80羽 ページ34
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パーティー会場の中は既に賑やかに盛り上がっていた。その中でも一際人集りの大きいところ、きっとそこがレッドダイヤモンドの展示スペースだろう。
「お姉さん!見に行ってみようよ!」
コナン君に手を引かれ、人混みを進む。
進んだ先には、これでもかというほど頑丈そうなガラスケースに飾られた、赤く煌々と輝くレッドダイヤモンドが姿を見せた。
『わぁ…綺麗だね。』
「指輪に加工してあるんだね。」
怪盗キッドも狙うわけだと納得がいった。
『キッド、これを盗りに来るんだね。』
「……捕まえるけどね。」
コナン君がぼそっとそう呟く。蘭ちゃんから聞いた話によると、コナン君は巷ではキッドキラーなんて言われてるらしい。何故かは分からないけど、その理由も気になる。
「お姉さん、僕ちょっとトイレ行きたい。」
『一緒に行こっか?』
「ううん!すぐ近くだし平気!」
『そう?人が多いから気をつけてね。』
「お姉さんこそふらふら変なとこ行かないでね!」
『はい…』
10歳以上も歳下のコナン君に釘を刺されつつ、私も人混みを離れた。
気がつけば、蘭ちゃんと園子ちゃんはスイーツの方へ、昴さんと安室さんは姿が見えなくなっていた。何処へ行ったのだろう。
『う…ちょっと人酔いしたかも。』
少し風に当たろうとテラスの方へ移動する。ここならそんなに離れてないし、コナン君が来てもすぐ分かるだろう。
テラスに出ると、ふわりと夜風がドレスを揺らす。綺麗な満月とキラキラとした夜景が見えて、まさにこんなパーティーを開くには絶好の日だと感じた。
『……。』
この景色のどこかに、ジンが居るのかな。
ふと、そんな考えが頭を過ぎる。光が強い場所にこそ、深い影が差している。
「あのぅ…」
声に振り返ると、キャスト服を着た男性が私を見ていた。
「ピアノはお弾きになりますか?」
唐突な質問に少しだけ驚く。もしかして、暇を持て余しているように見えただろうか。なんだか申し訳ないな。
『少しだけ…』
「そこのピアノ、ご自由に弾いてもらっても構いませんよ。もし退屈でしたら…」
『わざわざありがとうございます。』
そう言うと、にっこりと笑ってキャストの男性は去っていった。
男性の指さした方向には確かに黒いグランドピアノが、端っこにこじんまりと置かれている。
ピアノか、もうしばらく弾いていないな。
楽譜もないみたいだし…
『(でも、久しぶりにちょっと触れてみたい。)』
私はピアノの椅子を引き、腰をかけた。
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only07(プロフ) - ベルモットとオリヴィアちゃんが幸せになってほしいです……! (1月14日 20時) (レス) @page45 id: 621931103c (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れません🥺更新待ってます!!!! (12月11日 21時) (レス) id: 3161f0695a (このIDを非表示/違反報告)
凛愛(プロフ) - とても好きです…🥹 (11月26日 22時) (レス) @page43 id: f83a603b36 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - あああああああ好きです (9月16日 19時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - ベルさん» ほんとですか!泣長ったらしいお話ですが付き合っていただけたら嬉しいです!コメントありがとうございます! (6月19日 1時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:full. | 作者ホームページ:http://utanai.nosv.org/u.php/hptyomatu/
作成日時:2023年3月10日 20時