検索窓
今日:76 hit、昨日:97 hit、合計:644,920 hit

本音 ページ29

.



店が開店してすぐに、九井さんは来てくれた。


マスター「Aちゃん!VIPルームで本指名、よろしくね!」

『はーい!今行きます!』


入口へ迎えに行くと、私に向かってひらひらと手を振った。


『こちらです。』

九井「どーも。」


((ガチャ))


VIPルームの中に入り扉を閉める。
すると途端に腕が回され、私は九井さんに後ろから抱き締められた。

((ギュッ))


『……え!?』


びっくりして何事かと思えば、九井さんは私の方にポスンと顔を乗せため息をついた。


九井「はぁ……ったく。」

『こ、九井さん…?』

九井「あー……悪ぃな。もうちょっとこのままで。」


本当にどうしたのだろう。
いつもと変わらない様子に見えたけど。


『何かあったんですか?』

九井「ふっ…まぁな。何処かのお嬢さんが心配かけさせるからなぁ。」

『うっ』


もしかしなくても私のことだ。


九井「灰谷に事情を聞いた時俺がどんな気持ちだったと思う?」

『か、返す言葉もありません…』

九井「無事で良かったけどよ。」


私は首元に回る九井さんの腕にそっと手を添えた。


九井「………悪いな。」

『どうして謝るんです?』

九井「ボス相手じゃあ、俺は下手に動けねぇ。」


私を抱きしめる手に力がこもった。


『もう充分ですよ。私がどれだけ助けられてるか。』

九井「……俺は何も。」

『こうやってお店に来て、私に会ってくれるんだからそれだけで充分です。』

九井「っ………お前それ、他の客にも言ってんの。」

『いいえ。私愛想は振りまいても媚びは売らないので。』

九井「ふっ、そうだな。お前はそういう女だ。」


九井さんはようやくそっと腕を離した。


九井「だから……マイキーも……」

『?』

九井「いや、何でも。」


まだ何か言いたげな様子だったが、九井さんは口を噤んだ。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (691 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2862人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

full.(プロフ) - ゆきさん» うわあああ嬉しすぎます!(´TωT`)この作品を選んでくれてありがとうございます!更新も頑張ります! (2022年7月16日 10時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - 天然水さん» コメントありがとうございます! (2022年7月16日 10時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - とても素敵な作品をありがとうございます!面白くて一気に読んでしまいました!1番好きな作品です…♡作者様のペースで更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2022年7月15日 21時) (レス) @page49 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
天然水 - 更新してください (2022年7月12日 19時) (レス) id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
天然水 - 早く更新してほしいです (2022年7月4日 7時) (レス) id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:full. | 作者ホームページ:http://utanai.nosv.org/u.php/hptyomatu/  
作成日時:2022年4月15日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。