5話 ページ6
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「なんか良いことでもあったのか？」
「は？なんでだ」
「なんか今日は機嫌良さそうだから」
合流してそうそう、変なことを言うサボに少しイラつく。
なんでって割と当たっているから。
だんまりを決め込んだおれだったがしつこく聞いてくるサボに痺れを切らし、勝負を仕掛ける。結果はおれの49勝51敗。
「で？なんだったんだ？
あのタイミングで勝負ふっかけてきたんだから的外れでは無かったんだろ？」
憎たらしい笑顔で詰め寄るサボ。
チッ。勝負に勝って喋んねーつもりだったのに。
「はァ…。飯が美味かった」
「は？」
「だから！朝飯が美味かったんだよ！」
ヤケクソでそう叫ぶと、プッと吹き出し大爆笑しだした。
こうなったら長い。思いっきり殴って強制的に黙らせた。
「悪かったって。でもお前、飯っつったってただの肉だろ？
珍しいのでも捕まえたのか？」
「いや、捕まえたのも料理したのもおれじゃないしダダンでもない。肉だってただの野牛だった」
「じゃあなんで？」
「昨日拾った女。あいつが捕まえて料理したらしい」
「昨日拾ったって言ったらあの死にかけてた奴か？」
「ああ」
「生きてたんだな！そりゃ良かった」
安心したように笑う。そもそも昨日、連れ帰ったのは紛れもなくこいつが原因だった。
＿＿＿＿＿
＿＿＿
「ん？」
「？どうしたエース」
「いや。多分気のせいだ」
夕飯になる食料を求め、森を散策していた時、何かを感じた。
視線のような、おれを呼ぶ声のような、どちらでもないような何か。それは初めての事で気になって仕方なかったが、気のせいだと無視していた。
「でもエース、気になってんだろ？行ってみようぜ」
それはサボにはお見通しだったようで、その変な感じだけを頼りに足を進める。その先は崖だった。
「やっぱ気のせいだったのか？」
「あれじゃねーか？」
サボが指した先は崖の下の小さな浜辺に漂流した小舟だった。
宝が呼んでたのか！とはしゃぐおれの隣でサボは焦ったような顔をしていた。
だけど舟に乗っていたのはおれより小さい女。宝らしきものなんて一つも無かった。しかも全く起きやしねえ。死人のようだった。
こいつどうする？とサボが話しかけてきたが、おれはすこぶる機嫌が悪い。そりゃそうだ。よく分からないものに振り回された挙句、宝かと思えば死にかけの女。良い気分なわけがない。
ほっとけと返せばとんでもないことを言い出した。
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作者名：パティあす | 作成日時：2020年1月1日 19時
