広い空の下で (ページ32)

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8話ページ32

「うわ!!すげェ!!おれよりすげェ!!
大金だぞ、どうした？」

「大門のそばでよ、チンピラ達から奪ってやった!!
どっかの商船の運び屋かもな」

『チンピラって……
それ大丈夫なの？追手が来たりしない？』

「大丈夫だろ！」

『……』

あっけらかんと言い放つエースをステラはジトッ見つめる。
その視線に気付かぬフリをしてエースはそっと目を森へと向けた。

「くっそ～
今日も敗けたなー」

「どっちが勝ってもいいだろ。
いつか二人で使う海賊貯金。
貯め始めてもう5年になるな。
……苦労した」

「そうだなー
"海賊船"なんていくらあれば買えんのかな」

「さァ……何千万か何億か……まだまださ。
早くしまえよ。誰に見られてるかわからねェ…」

「海賊船～!!?」

『｢｢!!?｣｣』

エースの発言のすぐ後で、下から聞き覚えのある嫌な声が聞こえてくる。

しかも大声。
2人は直ぐに地上へ飛び降りた。

「お前ら海賊になんのか!?」

｢｢…………!!｣｣

「おれも同じだよ!!!」

表情の暗い2人の様子に気づくことも無くルフィはニコニコと話しかける。

会話の内容を聞かれていたことにエースとサボが焦る中、何故かステラだけはどこか楽しそうに微笑んでいた。

「エース、お前毎日こんなところまで来てたんだなァ」

「だまれ」
「コイツかよ。お前が言ってたルフィって奴」

「とうとうここまでついて来やがったのか。
人が通れるような道は通ってねェのに……」

「お前、エースの友達か？
お前も友達になろう！」

木に縄で縛りつけられた状況でもしししと明るく笑うルフィにサボがだまれ、と一蹴する。

「だからお前達もここに住めって言ったのに…!!
毎日の往復＂山道修業＂がアダになったな！どうする」

「秘密を知られた……
放っておいたら人に喋るぞコイツ、

……殺そう」

「よし。そうしよう」

「え～～～っ!!?」

「｢ !! ｣」

「バカ。静かにしろ!!」

「殺されるとは思わなかった～～!!!
助けてくれ～～!!! 死にたくねェよ～～～!!!」

大声で泣き叫ぶルフィの口を慌ててサボが押さえようとするも失敗しさらに声量が大きくなる。

「サボ！さっさと殺れよ!!」

「何言ってんだお前が殺れよ!!」

「おれは人なんか殺した事ねェよ!!」

「おれだってねェよ!! やり方わかんねェ」

「ならステラ!!お前が殺れ!!!」

助けを求め叫ぶルフィの声にもはやパニックになったエースが呼んだのは、未だ木の上にいたステラの名だった。