5話 ページ29
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傷になっているところを消毒して包帯を巻いて。
たまにピクりと背筋を伸ばす。消毒が沁みて痛いんだと思う。
申し訳なさを感じながらもどうすることも出来ずそのまま続けていくとなんとなく面白くなってきてしまって、堪えていたはずの声が思わず零れてしまう。
「シツレーなやつだな!お前」
『ごめんね。ルフィ君、だったよね?
怪我大丈夫?痛いよね?』
「痛くない!おれは強いからな!
?お前、どっか痛ェのか?」
『え?ううん、大丈夫。どこも痛くないよ。
心配してくれてありがとう。ルフィ君は優しいね。
お礼とお詫びにご飯あげちゃう』
馴れたと思っていたけど他人の怪我を見るのはまだダメらしい。そのことをまさか初対面のルフィ君に気が付かされるとは思わなかったけど。
「飯くれんのか!?お前良い奴だな」
ご飯あげるだけで良い奴って。
この子大丈夫かなと心配になる。
素直すぎて騙されそう。
「何言ってんだステラ!」
『明日の分は心配しなくても大丈夫です。
それともまだ、死んだら死んだで仕方ないと言いますか?』
「チッ… 好きにしな」
『はい!じゃあルフィ君行こうか』
手当てを終えたルフィ君をキッチンに案内するとなんだか顔が青ざめている気がして慌てて椅子を持ってきて座らせる。
『どうしたの!!?気分わるい?
やっぱり怪我痛かった?』
「ステラ、怖ェ」
『えっ?あ、ごめん!』
今まで不気味がられることはあっても怯えられることはなかったからどうすればいいかわからなくなった。
そんな時、大きなお腹の音が鳴る。
「腹減った……
ステラ、飯まだか?」
『あっうん。すぐ作るね!』
そこで少し作りすぎたことに気がつく。
無意識のうちにエース達と同じ量作ってしまったのだ。
『ごめんね量間違えちゃった。
無理しなくていいからね。食べられる分だけ食べてね』
「美味そうだな〜」
箸を渡すと一分も経たずに食べ終わった。
……はやい。たしかにエースなら少ないという量だろうけどそれでも私から見れば全然大盛りで。
男の子の普通ってこうなんだろうかと頭がクラクラする。
当の本人はさっきまで怪我で辛そうだったのに今はもうご機嫌でニコニコしていた。
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作者名:パティあす | 作成日時:2020年1月1日 19時