広い空の下で～約束～１ (ページ21)

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3話ページ21

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今日の分の海賊貯金を集め終え、晩飯の肉になりそうな動物を探していた時だった。

ゲラゲラと汚ェ笑い声が聞こえてくる。
何かと思えば昼間金を取った奴らだった。

その中心には見覚えのある髪色の女。3人の大柄な男達に殴られ、蹴られ、やり返す気力もないのかずっと蹲っていた。

話を聞いている限り、ただの八つ当たり。
しかもおれとサボのせいらしい。

可哀想だとは思ったが力のない奴が悪い。
そう思って助けようともしなかった。

頭を掴まれ、そいつの顔がはっきり見える。
その顔はおれもよく知る顔だった。

何やってんだあいつ。
あいつの力なら逃げることだって出来るだろうに。

そんな時だった。

「あーいう奴らは存在そのものがいけねェ。
そう思わないか？あﾞ？」

「っ……！！？」

おれが殴ろうとした瞬間、自身の頭を掴む男の手を持ち、放り投げた。

突然の出来事に誰もが唖然とする。
特に投げられた本人は何が起きたのか分からない、という顔をしていた。

他の二人もパニック状態になっていてあいつの身体が淡く光っていることに気がついていない。

「バ、バケモノ……」

『なんとでも言ってください。貴方達に何を言われようと気にしません。言われ慣れてますので。

ただし、存在そのものを否定する発言は訂正してください。
エースさんとサボさんは確かに貴方達に悪いことをしたのかもしれません。

でも！存在そのものがいけない、と言われる人じゃありません。今すぐ訂正してください！』

おれが挑発した時とも違う、声を荒らげ、静かに頬を濡らすステラ。

「ふ、ふざけるなァ!!!」

泣いていることに今更気付いたのか、慌てて腕で顔を拭くステラにさっき投げ飛ばされた男が殴り掛かる。

ガンッ！！！

『エース、さん？』

「何やってんだお前、さっさと行くぞ」

『え？あ、はい……』

鉄パイプで背後から襲い、気絶させ、残り2人に睨みを効かせるとすぐさま走って逃げていった。

「なんで逃げなかったんだよ。
お前ならすぐ逃げられただろ？」

『大人しく殴られてたらすぐ気が済むと思ったんですけどね。
失敗しました』

おれに対して怒るわけでも罵るわけでもなくヘラヘラと笑うコイツにイラッとして、頭をはたく。

『これでも怪我人なんですけど』

「投げ飛ばす元気があるやつが何言ってんだ」

見てたんですか!!?と大袈裟に驚くステラから荷物を奪い、前を歩く。なんとなく心地良かった。