広い空の下で (ページ2)

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始まりの-1話ページ2

島から逃げてきて、何日経つんだろう。
もしかしたらそんなに経ってないのかも。

もう日にちの感覚すらないや。

寒い…
お腹空いた…
喉も渇いた…

何だか目の前がぼんやりする。
白っぽくてよく前が見えない。

どうしてこんなことになったんだったっけ。

ああそっか。皆殺されちゃったんだ。
私だけ逃がされたんだった。

景色がぐるりと傾く。
さっきまで一面真っ暗だったのに、目の前にはたくさんの星。
倒れたんだということを理解するのに時間はかからなかった。

起き上がろうにも起き上がれない。
なんかもう、どうでも良くなってきた。

『約束、だったんだけどなぁ』

でも今、凄く眠たい。
あれ？寝るのなんていつぶりだっけ。

……覚えてないや。
覚えてないけど随分久しぶりな気がする。

私も死ぬのかな。
そしたらお母さん達に会える？
それだったらいいや。約束は守れないけど。

段々と瞼が落ちてくる。
もう抗う気力すら無いみたいだ。

もし、目が覚めることがあったらその時は頑張るから。
だからどうなっても怒らないでね。

・

・

・

『んっ…』

物音がして目が覚める。
知らない天井。知らない壁。

驚いて慌てて身体を起こし、辺りを見渡す。

『ここ、どこ？』

どう見ても知らない場所だった。
寝起きであまり回らない頭を必死に回す。

ふと、あることに気がついた。

『私、布団で寝てた……？』

それだけじゃなく、身体の至る所に包帯が巻いてある。
隣には雑に散らかるたくさんの布団。

よく分からないが助かったらしい。
嬉しいような嬉しくないような複雑な気分だった。

だけど生きているなら私のやるべきことはただ一つ。
強くなること、ただそれだけだ。

今度こそ立ち上がり、軽くジャンプする。
うん、これなら大丈夫。

それなら急いだ方がいい。
まず助けてくれた人にお礼して、ここがどこか聞いて・・・

よし。と小さく気合いを入れる。
古びたドアを開け、大きく足を踏み出す。

きっとこれが私の新たな一歩で、
これから続く長い長い物語の始まりだった───