026 優しさは時に罪となる。 ページ26
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「……いいのか?こんなにも」
「はい。ついでですし、あたしのちょっと遅いお昼に付き合ってください」
有り合わせでつくったものだけど、と、机の上に置かれているのはパンが数個とあったかいコーンポタージュ。もちろんコンポタはあのインスタントのやつね。流石にそこまでお料理上手ではない。
「……あ、でももしお腹とか空いてなかったら、」
「いや、ありがたくいただく。Aがせっかく作ってくれたんだろう?」
「……そ、そうです。そうですとも!」
「……いただきます」
……今のはさすがにキュンときた。
あー心臓に悪い。
「……あ、そうだ。実は今、パンを作ってて思いついたことがあって」
「なんだ?」
「題して、『無名街で手作りパン講座を開こう〜!』ってやつなんですけど。もちろんあたしが講師で」
「……子供たちが、パンを作るのか?」
「そうです。意外とパン作りって簡単なんですよ。混ぜてこねて形づくって、焼くだけなんで」
「……楽しそうだな。でも、店はいいのか」
「定休日に行おうかなって思ってます。どうせ暇なんで、このとおり(笑)」
そんなに友達もいないしなあ、なんて思って1人で悲しくなる。ナオミだって木曜日は普通に店の営業日だし、かといってヤマトやコブラ達と遊ぶような仲でもないし、なにして遊ぶんだって感じだし。寝るか、寝るか、寝るかしかない。って、なんて寂しい女なんだあたしは……。
すると、少しの沈黙から、「体は、休めないといけない」と、一言。
どの口が言ってんだか。
「スモーキーさんに言われても全然、説得力がないです」
「俺はこう見えて頑丈だ」
「まあ頑丈には見えますけど、ひ弱そうにも見えます」
「……、」
「ちゃんと食べてますか?ちゃんと寝れてますか?」
きっと、スモーキーさんの性格からして、自分の心配なんてどこへやら。まず周りの心配が最優先、って感じなんだろう。
しかし、優しすぎるのも、時と場合によっては罪にもなる。
「……Aは、タケシやララと同じようなことを言うんだな」
「そりゃあ、お仲間さんもスモーキーさんのことを心配してるんですから、当たり前のことです」
「……そうだな。これからは気をつけるようにする」
「そうしてください。あ、口だけじゃだめですよ?」
「……分かった」
結局、また一週間後の定休日に無名街へ伺う予定をたて、スモーキーさんは颯爽と、帰っていった。
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027 友達100人できるかな→←025 本日、定休日です。
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堕天使魔夜(プロフ) - 5371号さん» 更新しないのですか?とても楽しみです (2017年9月10日 13時) (レス) id: 5e5aea13cc (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - 5371号さん» はい!どんな登場か楽しみです♪ (2017年8月26日 23時) (レス) id: 5e5aea13cc (このIDを非表示/違反報告)
5371号(プロフ) - 茅皓さん» 大変たくさんのコメントありがとうございます……!いえ、もうぜんぜん個人的にはすごくありがたいです。ありすぎて逆にすみません(笑) またなにかありましたら宜しくお願いします!更新もちょこちょこ頑張ります! (2017年8月26日 22時) (レス) id: 22d7f5151e (このIDを非表示/違反報告)
5371号(プロフ) - 堕天使魔夜降臨さん» 雨宮兄弟推しでしたか!!予定はしていなかったのですが、是非検討します。 (2017年8月26日 22時) (レス) id: 22d7f5151e (このIDを非表示/違反報告)
茅皓 - 沢山の直しを言ってしまいすみません(>_<) 今後物語を読んでいて直しがあったら言ったほうが良いですか? それともスルーしたほうが良いですかね? 以前別の作者さんの作品を読んでいて直しを言っていたら色々とあったので...。 一応確認をと思いまして...。 (2017年8月26日 12時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:5371号 x他1人 | 作成日時:2017年7月22日 7時