121話 念には念を ページ33
.
実弥さん達と別れ、私はE組の校舎へと足を向けた。
夏が近づいてきて日が短くなってきてるから、別れた時には薄暗くなっていた。
いつもはスイスイと登れる坂道も、今日はかなりの時間をかけてしまった。理由は簡単。これから実弥さん達がタコせんせー達に説明しに来るから。
私1人だと心配なんだと。2人は私を何だと思ってるのかな?
トホホ、とぼやきながら歩くこと数分。ボロボロの趣のある校舎が見えてきた。
他の生徒達は既に下校しているみたいで、グラウンドも教室もガランとしていた。
立て付けが少し悪い戸を開け、校舎内に足を踏み入れる。
屋敷からそのまま本校舎の方に行ったから鞄は持ったまま。職員室に行く前に、教室に置きに行こうかな。
そう思い、教室に向かった。
先生達以外は誰もいない校舎。いつもの騒がしさがないからか、まるで別世界に来たよう。電気も付いてなくて暗いし、ちょっと違うだけで印象がこんなにも違ってくるんだね。
物珍しげに校舎内を観察し、教室に目を向けると、窓ガラス越しにボゥ、と光が見えた。
まだ誰か残ってるのかな?と不審に思いながら扉を開くと、その正体が明らかになった。
「あっ、Aさん!お帰りなさい!」
『律......さん』
教室の隅に置かれた箱の中から、可愛らしい女の子──律さんが声をかけてきた。さっき見えた光もここから発せられているものだ。
「何だかお久しぶりですね」
『そうだね。私ここのところ来てなかったから』
「私もAさんのスマホにはお邪魔してませんでしたし」
自分の席に近づきながら、たわいもない会話をする。
律さんにはひょんな事から、ぶりっ子演技をしていることがバレてしまい、2人の時には私も素で話している。
『タコせんせーって職員室にいるの?』
「タコせんせー......?
あ、殺せんせーのことですね。はい、烏間先生達とご一緒に居られると思います」
『りょーかい、ありがと』
「殺せんせーに何かご用があるんですか?」
『ん、ちょっとね』
曖昧に笑って誤魔化す。律さんはAIだから別にバレてもいいかもしれないけど、念には念を。情報はどこから漏れるか分かんないし。
『じゃあ、ちょっと行ってくるね』
「はい、行ってらっしゃいませ!」
ニッコリと笑って見送ってくれる律さん。
うーん、可愛いなぁ。
275人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小桜(プロフ) - 黒姫の夢さん» 心優しいコメントありがとうございます!本当に励みになります。黒姫の夢さんも書いてらっしゃるんですね。応援してます(^-^) (2021年11月19日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
黒姫の夢 - 更新、無理せずに頑張ってください。 とても面白かったです。 私も暗殺教室の夢小説を書いています。 体に気を付けてくださいね? (2021年11月19日 22時) (レス) id: 89b081aabc (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくれているのに、全然できなくてすみません……。来週テストが終わるので、その時は沢山更新します! (2021年11月12日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新楽しみにしています!テスト頑張ってください (2021年11月12日 19時) (レス) id: 31f3b0e2bf (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - カンナさん» コメントありがとうございます。もうすぐテスト期間に入りますので遅くなるかもしれませんが、精一杯頑張って更新します! (2021年10月30日 12時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小桜 | 作成日時:2021年10月8日 22時