105話 焦り ページ17
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Noside
暗い森の中。1人の少女と1匹の鬼が1戦を交えていた。
拳と刀をぶつけ合っている。
しかし、鬼──京の攻撃は、どこか拙く雑なものだった。
先程戦った時よりも、圧倒的に攻撃力もスピードも、何もかもが落ちていた。
焦り。
少女──Aが自身の心に入り込んできた事による焦りから、京の攻撃は荒々しいものへと変わっていった。
「消えろッ!お前なんか消えてしまえ!俺の事を何1つとして知らないお前が、何言ったって無駄なんだよッ!」
癇癪を起こした子供のように、顔を真っ赤に染めてわめき散らす。Aはそれを見て、哀しそうな表情を浮かべていた。
(何が彼をここまで追い詰めているの......?鬼になった後とは考えにくい。ならば、生前、人間であった頃に何かあったはず......!)
Aは京から繰り出される攻撃を避けながら、必死に頭を回転させる。
(今は何言っても無駄。聞き入れてはくれない。
どうすれば、この場を凌げる......!?)
十二鬼月ではないものにここまで苦戦すると思っていなかったAも、京と同様に焦っていた。
晴も「十二鬼月並みのレベル」とは言っていたが、まさかここまでとは予想していなかったのだ。
何度目かの京からの攻撃。Aはそれを避け、京の拳は木にめり込んだ。
すると、その途端───。
『......は?』
京の体から白い湯気のようなものが立ち上ぼり、瞬く間に京を包み込んだ。
それを見ていたAは唖然。ポカーンと口を開き、何とも間抜けな顔をしていた。
『え、は?なになになに』
あたふたと慌てていると、スゥーと仮:湯気が晴れ始めた。
そこにいたのは──。
『は?子供?』
そう、Aの言う通り、仮:湯気が晴れたその先には小学校高学年位の子供がいた。
(え、あれぇ?京は??)
Aは、突如消えた京に戦闘中だった事を忘れて取り乱してしまった。
そこで、はたと気がついた。
(ん?あの子供......何だか京に似ている)
そう思い、ジーッとその子を凝視する。
こちらを睨む目付きの悪い目は、黒と紫が混ざった暗い色。髪は少し赤みがかっていた。
あ、京だ。とAが気づくのに、そう時間はかからなかった。
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小桜(プロフ) - 黒姫の夢さん» 心優しいコメントありがとうございます!本当に励みになります。黒姫の夢さんも書いてらっしゃるんですね。応援してます(^-^) (2021年11月19日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
黒姫の夢 - 更新、無理せずに頑張ってください。 とても面白かったです。 私も暗殺教室の夢小説を書いています。 体に気を付けてくださいね? (2021年11月19日 22時) (レス) id: 89b081aabc (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにしてくれているのに、全然できなくてすみません……。来週テストが終わるので、その時は沢山更新します! (2021年11月12日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新楽しみにしています!テスト頑張ってください (2021年11月12日 19時) (レス) id: 31f3b0e2bf (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - カンナさん» コメントありがとうございます。もうすぐテスト期間に入りますので遅くなるかもしれませんが、精一杯頑張って更新します! (2021年10月30日 12時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜 | 作成日時:2021年10月8日 22時