任務先でぶりっ子始めました ３

１０７話 記憶 ページ19

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「ッ！」



Aの攻撃により京の下半身は氷の膜で覆われ、容易に動けなくなってしまった。



『空の呼吸──』



Aは既に次の型へと移行していた。



ここまでか───。



さっきまでの威勢は無くなり、京は何故かそんなことを頭で考えていた。前までの彼ならば、ここで抵抗の１つや２つ見せていただろう。


だが何故か、今の彼は抵抗する気持ちがまるで無かった。


これもAの影響なのか。それとも別のことなのか。


それが分かるのは京本人のみだ。
いや......もしかしたら、京自身も分かっていないかもしれない。



(本当......下らない人生だったよ...)



死ぬ覚悟をした京の脳裏に、１つの記憶が浮かび上がった。



▼△▼△▼

京side


「この忌み子が」


「お前がいるから、私達はこんな目に......」


「お前なんか......消えちまえッ！」



これは......俺の記憶？いやでも、こんな事あったか？



「ごめっ......なさい...」



ん？あのガキは......。


数人の大人に囲まれるなか、必死に土下座をかましているガキの姿に、俺は既視感を覚えた。


誰だ...？あいつ。



「この村が廃退していったのはお前のせいだ！」


「お前が産まれてきたせいで......」


「目障りな奴だな」


「すみません......」


「うるせぇんだよ！お前の声を聞くだけでイライラする！」


「うっ......！」



大柄な男に蹴りあげられたガキ。そのガキは、お腹を両手で押さえながら、ポロポロと涙を溢し始めた。


その姿を見た途端、頭がズキズキと痛み出した。


これ......知ってる。見たことが、ある。


......いいや、見たことがあるなんてものじゃない。



「まぁた泣いたわよ」


「泣けば許して貰えるとでも？ハッ、お気楽な頭だねぇ」


「うぅ......」



ガキに浴びせられる罵詈雑言の嵐。


やっぱり......知ってる...。



「忌み子のお前にやる飯なんてあるわけねぇだろ」


「村に住ませて貰えるだけで有り難く思いやがれ」



忌み子......。



「名は体を表す、って本当ね」


「ほんとねぇ、鬼亊名(きずな)なんて。
こんな名前つけるなんて、親にも嫌われてたのかしら？」



鬼亊名......。


そうだ......、これは......




人だった頃の......俺......だ。

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