51話 セーフ、セーフだっ!! ページ6
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「あ、あのぉ......」
『はいっ!』
呆然としていると、彼女──もとい、私が奇跡的に名前を思い出した矢田さんが話しかけてきた。
「助けてくれて......ありがとうごさいます!!」
『あ、いえ!当然のことをしたまでですので、顔を上げて下さい』
バッ、と勢いよく頭を下げてきたから、慌てて上げさせる。可愛い子に頭を下げさせられるなんて、私は何てことを!!
「えっと......名前を教えていただいても?私は矢田桃花と言います」
『ほぉっ?』
おっと、思わずすっとんきょうな声が出た。それにしても、名前..?同じクラスなんだけどなぁ......、って、あ!!
そーいや私、蝶屋敷に行った帰りだからぶりっ子じゃないんだ。E組の皆は私の素の姿を知らないわけだから、この姿で会っても分からないのは当然ね。
じゃ、セーフ、セーフだよね!
良かったぁ、運がいいんだね、私。
『や、矢田さんと言うのですね。えっと......私の名前は......名乗る程でもないんですよね。そうですね...、私のことは、空、とでもお呼びください』
「空、さんですか?」
『はい。本名では無いんですけどね』
「教えては、くれないんですか?」
『それは、ちょっと難しいですね』
「そうですか......」
シュン、と落ち込む矢田さんの姿に、ちょっぴり罪悪感が湧く。
『で、では!』
「?」
少しでも元気付けようと、私は手をパチンと叩いて提案する。
『もし、もう1度私と貴方が出会った時、その時に貴方に私の本名を教えます。それでどうですか?』
「......! はい!」
頬をピンクに染めて、本当に嬉しそうに微笑む矢田さんに、私のハートは撃ち抜かれた。
グハアッ!! 可愛い過ぎるっ!
『それでは、私はこれで。
また会える日を......楽しみにしていますよ』
「はい!」
踵を返して路地裏から出る。
路地裏は暗かったからか、日の光が酷く眩しく感じる。
『さーてと、屋敷に帰って時間まで仮眠を取ろうかな』
足取り軽く、私は屋敷に向かう。
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小桜(プロフ) - 猫耳パンさん» こちらの方でもコメントくださり、本当にありがとうございます😃大好きと言ってもらえて嬉しいです! (2021年11月26日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
猫耳パン - この作品大好きです。 これからも頑張ってください。 (2021年11月26日 22時) (レス) @page14 id: f830ddeebe (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - コメントありがとうごさいます。凜ちゃんの生みの親としてとても嬉しいです! (2021年11月7日 20時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
こぐら - とっても面白いです!凛ちゃんのキャラが個人的に好きです。可愛い...! (2021年11月7日 20時) (レス) @page44 id: c60a472fe3 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - せせせせせええええええええええええさん» とっても嬉しいコメント、ありがとうございます!毎日更新できるように頑張ります! (2021年10月3日 20時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜 | 作成日時:2021年8月24日 22時