任務先でぶりっ子始めました

６話 実力 ページ9

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「今日の訓練は、始めに友田さんの実力を見ようと思う」


そんな烏間先生の一言からスタートした体育(と言う名の暗殺訓練)。

訓練あるとか聞いてませんよ。ぶりっ子のキャラで通してるからきっついよ〜。

ぶりっ子だったら『私ぃ、ナイフとかこわぁくてぇ、無理ぃっ！』とか言うんじゃない？(偏見)


「Aちゃん！頑張ってね！」

『カ、カエデちゃぁん...』


先程仲良くなった勇者カエデちゃんが、満面の笑みで応援してきた。


『私ぃ、ナイフとかこわぁくてぇ、持てないっ！』

「大丈夫、大丈夫！Aちゃんならいけるよ！」


その自信はどっから湧いてくんのよっ！

私達さっき初めて話したばっかりだよね？何を根拠にそんな自信満々に大丈夫だと言えるの？？

頼みの綱が途切れた私は、しぶしぶながら烏間先生の前へと行く。


「どこからでも良い。好きにかかってきてくれ」


ナイフを烏間先生に当てればいいのか。簡単だけど......ぶりっ子の私としては、絶対に当ててはならない気がする。

ぶりっ子ってほら『運動はぁ、苦手なんだぁ！』とか言ってそうじゃない？(またもや偏見)

しかも、周りには好奇心の視線を寄越してくる生徒が多数。

いくら私がぁ可愛いからってぇ、そんなにぃ見つめちゃ駄目だよっ！



......うぉえ...。

自分でやっといて何だけど、凄く気持ち悪い。

そりゃ、誰も近づかんわな。私も近づきたくないもん、こんな子がいたら。

性格の良い可愛い子だったら、ウェルカムだけどね！


『それじゃあ、行きますねぇ！』


仕方ない。ここは下手なふりでもしとくか。それが無難だろ？(多分)

烏間先生の元へとトテトテ走り、えいっ！とナイフを振るった。鬼を狩るときと同じくらい集中して。気を緩めてると無意識のうちに呼吸を使いそうで怖いから、油断はしてられない。

私のたどたどしいナイフの動きを、烏間先生は軽々と避けていく。こんなに遅いんだもん、そりゃ避けられるわなっ！


「...そこまでだ。友田さんの実力は分かった。これから皆と訓練を頑張れば、もっと技術は上がるだろう」

『はぁい！ぁりがとぉございまぁす！』


烏間先生にお礼を言ったんだけど、最初が小さくなりすぎた。何だよ、ぁりがとぉございまぁす！って。

ま、これで今回のミッションはクリア。下手な演技ができたと思う。


「Aちゃん、お疲れ！」

『ありがとぉ。もっと頑張らなきゃだねぇ』


これからこのぶりっ子をやるとなると、神経が削がれるぜ。

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