任務先でぶりっ子始めました

４４話 呼び名 ページ47

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「では菅谷君、教科書を伏せて。網膜の細胞は細長い方の桿体細胞(かんたいさいぼう)とあと１つ、太い方は？」

「え、俺？ やばっ、えーっと......」


あちゃ〜、菅谷君......だっけ？ 眠りこけてたな。タコせんせーも普通の先生みたいなことするんだね、話を聞いてない生徒を指すなんて。

頭をフル回転しながら考えてる菅谷君に、自律さんは左足の太もも辺りに''錐体細胞(すいたいさいぼう)''と書いて教えていた。

あら、カンニングだ。


「えーと......錐体細胞」

「こら、自律思考固定砲台さん！！ズル教えるんじゃありません！！」


案の定と言うべきか、タコせんせーは自律さんを叱った。

だがそれに対して自律さんはケロッと答えた。


「でも先生、皆さんにはどんどんサービスするようにとプログラムを」

「カンニングはサービスじゃない！！」


なるほどね〜。プログラムか。AIなんだからそんなことプログラムされてたら、しちゃうかもね。

でも自律さんはただのAIではない。''自律思考''固定砲台だ。これできっと、今後同じようなことは起きないだろうね。


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

休み時間。自律さんは沢山の人に囲まれながら彫刻を作って披露していた。それを私は少し離れた場所で見ていた。


「へぇーっ、こんなのまで体の中で作れるんだ！」

「はい。特殊なプラスチックを体内て自在に成型できます。設計図(データ)があれば、銃以外も何にでも！」


すごっ、超ハイテクじゃん。私にはAIのことは良く分かんないけど、ヤバい奴ってことは分かる。一家に一台「自律思考固定砲台」だね。

自律さんは女子から花を作るよう頼まれたようで、花の形を学習しておくことを約束していた。

ん？よく見たらもう片方で、前髪で目が見えない子と将棋してんじゃん！勝ってるみたいだし、自律さんは学習能力も凄いみたいだね。

大人気じゃん、自律さん。 良かったね！


「あとさ、このコの呼び方決めない？''自律思考固定砲台''っていくらなんでも」


学級委員の女子がそう提案した。それに対する賛同の声も、ちらほら上がってきた。

確かにそうだね。私は勝手に自律さんって呼んでたけど。


「何か１文字とって......自...律...、そうだ。じゃあ、''律''で！！」

「安直〜」

「お前はそれでいい？」



「...嬉しいです！！では、''律''とお呼びください！！」


律......か。
うん、良い名前じゃない。可愛い！

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