・ ページ41
.
「もう……本当、びっくりさせないで。」
「……………悪い、」
ソファーに寝ている消太の額に、手荒く冷却シートを貼り付ける。
あの後、よろけながらも何とか相談室の中へ彼を運んだ。
意識は途切れておらず、多少の受け答えはできるようなので一先ず安心した。
「無理して学校来たの？」
「………学校で、…朝まで寝てた…」
「…そりゃ体も壊すわよ。
今日は熱が下がるまで安静にしてないと、」
私がそう言った矢先に起き上がろうとする消太。
慌ててブランケットを彼に被せながら、寝てろと強く咎めば、素直に横になった。
無茶をしてまで仕事に費やすことないのに。
そんなことを言っても、プロ意識の高い彼はきっと聞きもしないだろうけど。
ふぅ、とひとつ息をついてから、書斎の上に置いてある受話器を手に取った。
治与ちゃんがいることを願って、保健室まで内線を繋げる。
.......
「…………ぉい……どっか、行くのか、」
「治与ちゃ、……リカバリーガールのとこ。
ちゃんとベッドある所の方が休めるでしょ？ついでに薬とか見てくるから、」
連絡を取ってものの数分後。
保健室へ行く前に身だしなみを軽く整えていたら、消太が掠れた声でそう問いかけてきた。
治与ちゃんも一応勤務中だし、今手の空いてる私が彼の看病をするのが最善だと考えたのだ。
じゃないと絶対この人授業出るもん。
彼が動いたせいか、ブランケットが無造作にめくれ上がってしまっている。
かけ直そうと手を伸ばすと、その手を彼に掴まれた。
「…………行くな、」
私と目を合わせながら、か細い声量で呟く。
乱れた黒髪の隙間から見える黒い瞳に吸い込まれそうになりながら、私はただ黙っていた。
こんな弱みを見せたのはいつぶりだろう。一緒にいる時も、滅多に表さなかったのに。
「………またおかしい奴、って思ったか…？」
「ッ、そ、そんなこと思ってない………！
…辛いのは消太でしょ、なら早く処置してもらった方が……」
「……………いいから……ここに居ろ、…」
握っていた手の力が強まる。手首から彼の高い体温が伝わってきて熱い。
そんな辛そうな顔で言わないで。
_____思い出してしまう。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りめろん(プロフ) - Soleilさん» そこまで楽しんでいただけるとは…！嬉しい限りです…！ありがとうございます！(;_;) (2018年10月18日 8時) (
レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - もうお話が好きすぎて、いつも更新楽しみにしてます！楽しみすぎて、数件通知の更新が来たら、1番最後にこの小説を見るようにしてます！これからも頑張ってください！ (2018年10月18日 7時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - ユウさん» わわ！ありがとうございます…！！そう言っていただけて嬉しいです(;_;) (2018年9月29日 22時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - はじめまして！いつも楽しく拝見させていただかせています！自分も相澤先生推しでこの小説大好きです！これからも楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年9月29日 21時) (レス) id: 74ed180ca2 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - 水波さん» ありがとうございます！これからもぜひ読んでくださると嬉しいです(´ｰ｀) (2018年9月25日 18時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りめろん | 作成日時：2018年9月24日 19時
