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俺の頭に寝癖が付いている、とさっきまで大笑いしていた彼女が、何故かとても辛そうな顔をして俺を見ていた。
髪を直そうとしていた手を引っ込ませ、自分で直せと今度は真っ赤な顔して飛び出していく。
ダンボール箱を抱えたまま、俺は呆然とその場に立ち尽くす。
何か変なことを言ってしまったのだろうか……心当たりがまるでない。
「………忙しい奴…」
ふと、笑いながら俺に手を伸ばす先程の彼女を思い出す。
あれは初めてじゃない。
以前は何度も見ていたあの表情を、また見ることになるなんて。
俺はいつになったら気が済むのだろうか。
長い夢に浸り過ぎたせいか、なかなか覚められない。彼女の記憶がこびりついて離れない。
「……あいつの個性、そんなんじゃなかったはずだけどな」
.......
保健室にダンボールを運んだ後、相談室に戻ると、いつもの彼女に戻っていた。
だが妙に冷静というか、オドオドした様子はまるで無くなっている。
「さっきは取り乱してごめんなさい、何ともないから忘れて」
「いや、別に………つーかお前、なんか肝座ってるな」
「そりゃあ、カウンセラーとして皆の相談相手にならなきゃいけないんだし、肝も座らせておかないとでしょ？」
にしても切り替えが突然過ぎだろ。
そんなツッコミを心の中で入れつつ、俺は婆さんから受け取った彼女の私物が入った箱を机に置いた。
中を少し覗くと、俺があげた本も入っている。
それから自分で買ったであろう書籍やエッセイまで。相当読み込んだんだな。
「私ね、ここを、誰が来ても居心地が良いって思える場所にしたいの。
心の拠り所になればいいなって。」
窓を拭きながら、そう言って苦笑する彼女。
遠くを見るように真っ直ぐ窓の外を向くその目は、曇りのない透き通った色をしていた。
呑気でお調子者のくせに、誰よりも努力家で優しさに溢れるその人柄は相変わらず。
「……なんて、素人の私じゃ出来ないかもしれないけど」
「出来るよ。
みっちり叩き込んでやったんだから当然だ。
………それとも、もう1度教え直すか？」
「遠慮しとくわ」
窓の隙間から風が通り抜けた。
ふわりと靡く彼女の髪から飛んだのは、いつか彼女を抱き締めた時と同じ、甘い華の香り。
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りめろん(プロフ) - Soleilさん» そこまで楽しんでいただけるとは…！嬉しい限りです…！ありがとうございます！(;_;) (2018年10月18日 8時) (
レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - もうお話が好きすぎて、いつも更新楽しみにしてます！楽しみすぎて、数件通知の更新が来たら、1番最後にこの小説を見るようにしてます！これからも頑張ってください！ (2018年10月18日 7時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - ユウさん» わわ！ありがとうございます…！！そう言っていただけて嬉しいです(;_;) (2018年9月29日 22時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - はじめまして！いつも楽しく拝見させていただかせています！自分も相澤先生推しでこの小説大好きです！これからも楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年9月29日 21時) (レス) id: 74ed180ca2 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - 水波さん» ありがとうございます！これからもぜひ読んでくださると嬉しいです(´ｰ｀) (2018年9月25日 18時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りめろん | 作成日時：2018年9月24日 19時
