・ ページ22
.
「………へぇ、臨床心理士ね」
「もう、勝手に取り上げないで」
「お前大学院まで行く気か？」
「馬鹿じゃないの、そんな時間ないわよ……」
返して、と言いながら手を伸ばし俺から本を取り戻すと、ジト目で俺を見つめてくる。
なかなか仕事が終わらず行き詰っていたので、試しに図書館へ寄ってみたら。
偶然、彼女を見かけたのだ。
声を掛けるか迷ったが、あまりにも真剣な顔をしてその本を読んでいたので、何をそんなに熱心に…と疑問に思い確かめてみれば、そのタイトルは " カウンセラーになるために " 。
どうやら本気らしい。
まぁ、1度火がついてしまえば達成するまでとことんやる性格なのは知っている。
だがこの資格に関しては、流石にその努力たちだけで取れるものでは無さそうだった。
「…大学院なんて、行ける程の学力もないし」
「それもそうか」
「ちょっと。少しは否定してよ」
そう言って苦笑する彼女につられ、俺も少しだけ口角を上げた。
笑った顔や、声、仕草。
全部あの時の彼女のままなもので、懐かしさが込み上げてくる。
昔はこうやって冗談ぽくからかったりしながら会話したな…なんて振り返ると、自分らしくない気がして少し恥ずかしくなった。
何を考えてるんだ俺は。
「…やっぱり断るしかないかぁ……」
「お前が落ち込む必要無いだろ。
そもそも婆さんから言われて嫌々引き受けたもんじゃねぇのか、だったら今からでも断れば………」
「
見た目とキャラに反比例しているその性格。
真面目。責任感が強い。などと言えば聞こえは良いが、ただ単に全て抱え込んでしまう癖があるんだと、俺は思っている。
自分への負担より、相手のこと。
かつての俺に対してもずっと、ずっとそうだった。
資料を掴んでいる手に力が籠る。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りめろん(プロフ) - Soleilさん» そこまで楽しんでいただけるとは…！嬉しい限りです…！ありがとうございます！(;_;) (2018年10月18日 8時) (
レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - もうお話が好きすぎて、いつも更新楽しみにしてます！楽しみすぎて、数件通知の更新が来たら、1番最後にこの小説を見るようにしてます！これからも頑張ってください！ (2018年10月18日 7時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - ユウさん» わわ！ありがとうございます…！！そう言っていただけて嬉しいです(;_;) (2018年9月29日 22時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - はじめまして！いつも楽しく拝見させていただかせています！自分も相澤先生推しでこの小説大好きです！これからも楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年9月29日 21時) (レス) id: 74ed180ca2 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - 水波さん» ありがとうございます！これからもぜひ読んでくださると嬉しいです(´ｰ｀) (2018年9月25日 18時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りめろん | 作成日時：2018年9月24日 19時
