月華の姫３

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９４.立派な人間にページ4

連れさられたその先__

その山は地元の人間もめったに入らない捩眼山__

おそろしい妖怪「牛鬼」があらわれる山であった！！

無力な梅若丸はただただ...呑まれるだけであった

梅若丸『(死にたくない...母様に...会うまでは！生きなきゃ！！)』

牛鬼『バカめ...お前の母親たぁコレのことか！？』

牛鬼が大きな口を空けたその中には、母親がいたのだ

梅若丸『か...母様ァァアアア』

牛鬼『ギャハハハハハハああーー貴族の肉はうめぇなぁぁ～この女も大津の地でわしらにだまされのこのこやってきた。あわれな親子よのぉーー！！』

牛鬼『よかったなぁ。再会できて。ワシの...口の中でなぁぁ』

牛鬼は梅若丸を口の中に入れる

『梅若丸...立派な人間に』

『立派な人間になるのですよ』

ふつふつとわきあがる憎悪は梅若丸を人間としてとどめおかなかった

彼の精神は霊障にあてられ__鬼のそれへと変わった

魔道に墜ちた少年は妖の腹わたをつき破る

妖怪・牛鬼は母の死骸を抱えながら産まれた

『え！？な.....』

『ひっ.....』

女達の悲鳴は山中に轟いた

梅若丸『母様ァああ.....』

少年はやがて人間をおそうようになる

菩提を弔うために死体をつみあげた

山に住まう妖怪どもをひきつれ__人里を襲った

いつしか自分自身が牛鬼と呼ばれるようになった

母の愛を忘れてしまうくらい年を経た___