箱庭の中で ◈Jade◈ ページ11
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小枝、貝殻、石、砂。
手から落ちた小さな装飾品がガラス容器の中で転がり、1つの世界を作り上げていく。
『あとはこれと、それとあれとこれも……』
そのきらびやかな見栄えに少女は目を輝かせ、次から次へとガラス容器へ放り込む。
「──監督生さん、飾り付けは順調ですか？」
夢中で動かしていた手を止め、声の主の方へ振り返る。
「紅茶を淹れてきました。楽しんでいるようで何よりです」
独特な香りが漂う紅茶を片手に、チョウザメのピアスが揺らめいた。
『うん。良いテラリウムが作れそうだよ──ジェイドくん』
「はい。ですが監督生さんのものは少々……生き物にとって窮屈ではないかと」
『……そうかな？』
改めて作ったテラリウムを眺める。
用意してくれた材料が魅力的なものが多かったし、飾りは多ければ多いほどいいものだと思ってたのだけれど。
「いえ、気にしないで下さい。こういった園芸は、人それぞれの自由な表現がありますから」
以前にジェイドくんから紹介してもらい、オンボロ寮にも1つ作ろうと思ったのがきっかけだった。
放課後に部屋に押しかけても快く対応してくれた。さすがは慈悲の精神を基づく寮の副寮長と言ったところか。
『……うん。でもこれくらいにしとくね』
制作に一区切りを付け、貰った紅茶を一口すすった。
適当な感想を述べつつ、ジェイドくんの部屋を見回す。ベッドの脇には、いくつかのテラリウムが置いてあった。
『本当に好きなんだね、テラリウム』
「……ええ」
私の傍の椅子に腰掛けた彼は、何だか神妙な面持ちだった。
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作者名：はさみまもの | 作成日時：2021年11月13日 16時
