33話目 ページ39
マルフィ side
マルフィ｢君がもし人間の心のままであれば、今ここで殺してしまおうと思ったんだ。
私は君の心が知りたい。...どうか、嘘をつかずに教えてくれないかい。｣
自分でもこんなことを言うのはおかしいと思った。
私は彼女を殺そうとしているのに、真実を言ってしまえば殺されてしまうかもしれないのに、嘘をつかないでくれなんて。
よくわからないこの気持ちのせいで、頭までおかしくなってしまったのか。
話す決心をしたのだろうか、彼女は私の方を振り返った。
私の目を真っ直ぐに見つめる彼女の目は月明かりに照らされて、とても美しかった。
しかしその表情はとても、とても苦しそうで、つい｢なぜ｣と言葉が出てしまいそうだった。
なぜ君が、そんなにも苦しそうな顔をするのか。
彼女は1度私と目を合わせたあと、少し伏せ目がちに自分の考えを述べた。
スラスラと言葉が出てくるあたり、彼女が嘘を言っていないのは明らかだった。
普通、人間はつらいことがあったりした場合に自ら死を選ぶのだと思っていたが、彼女は人間の在り方に疑問をもって死のうとした。
その時点で彼女はきっと人間側ではないのだろう。
そう思うだけで十分安心できた。
これで私は、彼女を心から愛することができる。
彼女の話が終わった時には、私の心は安心で満たされていた。
マルフィ｢…では、Aは何があってもこちらの世界を裏切ることはないかい？｣
彼女は決して裏切らない。
そうわかってはいたが、私は彼女の言葉で答えを聞きたかった。
念には念を、というやつだ。
『えぇ、もちろん。……貴方と初めて出会った日の、あの月に誓いましょう。』
マルフィ｢！｣
なんてことだ。
私ばかりが大切に記憶にしまっていたと思っていた｢あの日の月｣を、彼女も記憶してくれていたなんて。
こんなに嬉しいことはない。
誓いは違えど、私達は共にあの初めて出会った日の、あの月に誓いを立てた。
これは本当に運命なのではないだろうか。
そう思うと自然と口角が上がってしまう。
少し話したあとに彼女を部屋に送り届け、自分の部屋に戻った。
普段彼女の美しさばかり見ていたが、純粋でウブな所もかわいいな。
などと柄にもないことを思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はるまき(プロフ) - 続きが気になる... 更新待ってます！ (2022年10月4日 0時) (
レス) @page43 id: 7c9c8aed08 (このIDを非表示/違反報告)
猫目石(プロフ) - 続きが、、、、気になる、、、 (2020年9月27日 14時) (レス) id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年5月13日 10時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
リンネ - いつも更新楽しみに待ってます！これからも頑張って下さい！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: 679ef415fd (このIDを非表示/違反報告)
悪魔のクリオネ(プロフ) - 与太さん» こんな面倒くさい訂正にも丁寧に答えてくださり、ありがとうございます！ずっと応援しますし、更新待ってますね！ (2018年12月12日 20時) (レス) id: 1aaac5e030 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うみ | 作成日時：2018年11月7日 17時
