31話目 ページ37
『…殺気はしまっていただけると有難いのですが。』
おや、という声がしたと共に部屋の明かりが消え、私の真後ろに気配が移った。
『この声はマルフィさん、ですか。』
マルフィ｢すごいなぁ君。あの気配と殺気を見破るなんて、さすがエイトフットに育てられただけある。｣
『お褒めに預かり光栄です…が、殺気はしまってくださらないのですね。』
マルフィ｢そうだねぇ…。私はね、人間があまり好きではない...いや、嫌いなんだ。｣
『...はい。』
マルフィ｢人間は欲汚くて、己の欲の為であればすぐに裏切り、自分こそが正しいと信じて疑わない。
私は君が人間だったと聞いて酷く残念に思ったよ。こんなにも美しい君が、あんなにも醜い人間だったなんて。｣
なんだか、褒められているのか貶されているのかよくわからない。
しかし複雑な心境なのはマルフィさんも同じなようで、こんなにも殺気を放っているのに、その声はどこか苦しそうだ。
それが何故なのかはわからないけれど。
マルフィ｢君がもし人間の心のままであれば、今ここで殺してしまおうと思ったんだ。
私は君の心が知りたい。...どうか、嘘をつかずに教えてくれないかい。｣
命の危機であるというのに、嘘をつかない人はいるのだろうか。
などとアホらしいことを考えもしたが、こんなに苦しそうに言われては嘘の付きようがない。
私はマルフィさんの顔を見るべく、後ろを振り返った。
マルフィさんの顔は月に照らされていて、初めてあった日のことを思い出させた。
しかしあの日の表情とは全く違う。
とても美しいはずの顔は、悲しみと苦しみ、そして殺意に歪んでいた。
それは、今にも泣いてしまいそうな顔だった。
あぁ、どうして私まで、こんなにも胸が苦しくなるのだろう。
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はるまき(プロフ) - 続きが気になる... 更新待ってます！ (2022年10月4日 0時) (
レス) @page43 id: 7c9c8aed08 (このIDを非表示/違反報告)
猫目石(プロフ) - 続きが、、、、気になる、、、 (2020年9月27日 14時) (レス) id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年5月13日 10時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
リンネ - いつも更新楽しみに待ってます！これからも頑張って下さい！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: 679ef415fd (このIDを非表示/違反報告)
悪魔のクリオネ(プロフ) - 与太さん» こんな面倒くさい訂正にも丁寧に答えてくださり、ありがとうございます！ずっと応援しますし、更新待ってますね！ (2018年12月12日 20時) (レス) id: 1aaac5e030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2018年11月7日 17時
