レインボープール【1】

最終回 ページ35

さあやと付き合うことになった次の日、僕は原宿の駅前で一人佇んでいた。


今日は試合の疲れを癒やすという名目で部活が休みになった。


そんなことはそうそうないから僕たちは二人で出かけることにした。


いじっていたスマホから目線を上げ、時計を見るが、まだ待ち合わせから20分以上前だ。


まだまださあやは来ないだろう。


そう判断し、またスマホに目を落とすと


ふとハルから連絡が来た。


昨日の告白の後、ハルと話し合い、これまでのことを許し合った。


その際、連絡先を交換していた。


ハルにはさあやから言うと思っていたが、
さあやに僕から報告するように頼まれてしまったので
散々悩んだ結果、昨晩短いLINEを入れていた。



郁弥さあやと付き合うことになったから。


郁弥報告だけ。



一日経ってようやくその返事が返ってきたようだ。


遥そうか。


遥おめでとう。



たった二言だけでもかつての親友にそう言われると心が弾む。


さあやもそれがわかっていたのだろうか。


そんなことを考えて苦笑していると、大きな声で名前を呼ばれた。


振り返らなくてもわかる。


ずっと愛しくてたまらなかった人の声だ。


幸せな気持ちが込み上げてくる。


これから始まる毎日はとても色鮮やかなものになるだろう。





何年も昔に出会えた奇跡。




そして今もう一度再開できた奇跡。





始まりはどこにでもあるような普通のプール。







この物語になくてはならない存在であるレインボープール。




そこで出会った僕たちは再び出会い、もう一度恋をした。




この奇跡を大切に胸にしまい、僕らは明日を歩んでいく。





まずはその一歩目を踏み出そう。









愛しい人の名前を呼んで









｢...さあや。｣









君と共に。

《駄作者からのメッセージと番外編についてのお知らせ》→←返事（2）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す