是非に及ばず−現代鬼殺隊−【煉獄杏寿郎】

46. 金色の弾丸のひみつ ページ46

「A！！」



すぐさま彼女の元に駆け寄って、胸元の傷を押さえた。



「死ぬな！A！！」



必死に彼女の首を持ち上げ、哀願した。



Aは綺麗な顔で、目を瞑ったまま息をしていなかった。



「A…」



彼女を死なせてしまった。



泣いても泣ききれない悲痛に身を震わせる。



「すまない。君を助けることができなかった。」



かろうじて喉から漏れた空気が声になり、彼女の胸に顔を埋めた。



「あーあ、なんだよ。自分で自分を撃つなんて、一番しらけるじゃない。」



ピエロが冷淡な顔でつまらなそうに言い放った。



「まぁ、でも。鬼狩りのお前はこれで助かったんだ、結果オーライじゃない？」



許さない。



俺が命を落とすことがあろうとも、このピエロだけは許さない。



耐えられない怒りが胸の炎をどす黒く覆おうする、その時だった。



Aの傷を塞いでいた手に違和感を覚えた。



見ると、彼女の銃弾であいた胸の傷がみるみる無くなっていくのだ。



ハッと驚いてAの顔を覗き込んだ。



鬼の再生能力か、……いや違う。



鬼化していた肌、口元、爪がたちまち人間に戻っていく。



まさか…！



Aの顔色が綺麗に戻っていった。



信じられない！



胸に耳をすますと、トクン、トクンと心音が聞こえる。



生きている！



ふと、Aが撃ったあとの薬莢が床に転がっているのを見つけた。



それは警察の薬莢ではなく、お館様から渡された金色の弾の薬莢だったのだ。



そうか、そうだったんだ！！



彼女が鬼から人間に戻った理由が、今ハッキリ分かった気がした。



Aがゆっくりと目を開ける。



綺麗なガラス玉のような瞳が、俺の心臓を貫いた。



「あれ、わたし…生きて」



つかさずAを強く抱き締めた。



「良かった…！A、本当に良かった！！」



彼女の頬に自分の頬をくっつけ、ぎゅっと目を瞑った。



Aの腕が、俺の背中にまわされる。



彼女の優しい香りが、胸を震わせた。



「あれ？なんで？死んだはずなのに…！なぜ生きている？」



一部始終を見ていたピエロは狼狽えた様子だった。



「まぁ、いい！また鬼にしてしまえばいいこと！」



「無駄だ。」



彼女を守るよう、前に立ちふさがる。



「彼女の特別な弾丸が身体に取り込まれ、鬼化を無効化した。もう、彼女を鬼に変えることはできないだろう。」



「！」



ピエロの顔がだんだん怒りで赤くなっていった。

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