23. 予言 ページ23
「彼…?」
私が分からずそう聞くと、産屋敷さんはフフッと微笑んで
「……自覚していないところもよく似ている。」
そう言って、どこか嬉しそうに笑った。
「Aさん、あなたのことは杏寿郎の鴉から聞いています。鬼殺隊について話はお聞きしましたか?」
「はい。煉獄さんから聞いています。あの…、鬼から私を守るよう、煉獄さんに言って頂きありがとうございます。煉獄さんがいなかったら今頃…。本当に、ありがとうございました。」
私は感謝しても感謝しきれず、再度頭を下げてお礼を言った。産屋敷さんは微笑んだまま頷いている。
「Aさん、あなたの所へ杏寿郎を向かわせたのは、鬼から身を守るだけではないのです。あなたは、いずれ鬼殺隊の運命を変える人となります。」
「う、運命ですか?」
産屋敷さんは頷き、話を続ける。
「あなたは有能で、優しくて直感力に優れてる。そして、杏寿郎も強くて愛情深い子だ。人一倍責任感があり、あなたを命に代えてでも守ろうとするだろう。」
物柔らかく、落ち着いた声で産屋敷さんからまっすぐに視線を送られる。
「Aさん、あなたは近いうち、ある選択を迫られる。」
「……選択?」
「その時あなたは、自分の命をとるか、杏寿郎の命をとるか。どちらかを選ぶことになるでしょう。」
思わず言葉を失った。
彼の予言なのだろうか。
私か、彼の命。どちらか選ばないといけないなんて。
「あなたのような優しい人に、こんなことを告げなければならないこと、本当に心苦しいものです。でも…。」
「Aさん、私はあなたがどちらの選択を選んでも、あなたを最後まで信じて見守っています。」
「大丈夫。自分の気持ちに正直に従えばいい。きっと良い道が開かれる。」
そう言った産屋敷さんの意識が、ふっと廊下に向いた。
「失礼致します。」
落ち着いた声と共に廊下に現れたのは煉獄さんだった。
思わずドキリとする。
「お館様、遅くなり申し訳ございません。」
彼は手を床に付き、産屋敷さんに額を深々と下げた。
「怪我は大丈夫かい?」
産屋敷さんが優しく聞いた。
「はい、額に傷を負いましたが、軽傷で済むことができました。ご心配をおかけ致しました。」
煉獄さんの額には白いガーゼが当てられている。
「杏寿郎が無事で良かった。では、鬼の報告をしてくれるかい?」
お館様の瞳は、藤色の美しく優しい瞳だった。
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favo(ふぁぼ)(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉ちゃん!お久しぶりです☆ありがとう〜😆またちょっとずつ書いていくのでよろしくねぇ☆ (2022年12月22日 7時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ふぁぼちゃん、お久しぶりです。完結おめでとうございます。これからも頑張ってね😆 (2022年12月22日 4時) (レス) @page50 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - チェケラさん» こんばんは!チェケラさん、コメントありがとうございます!わー!大好きって言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます!少しずつの更新で待たせてしまい申し訳ないですが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2022年12月14日 0時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
チェケラ - コメント失礼します! favoさんの小説毎日読ませてもらっています!favoさんの小説とっても大好きです! これからも連載頑張ってください! (2022年12月12日 21時) (レス) @page27 id: df31792cbc (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - gn001yukaringoさん» わぁ〜!コメントありがとうございます!とても嬉しくて、また頑張ろうと思えました。ありがとうございます!完結まで頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2022年6月16日 20時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:favo(ふぁぼ) | 作成日時:2021年10月7日 18時