19. ピエロの力 ページ19
「だが悲しきかな、所詮お前は人間。」
ピエロは私のすぐ後方に走る別の車の上へ飛び乗った。
すると私の前方2台、後方1台で走っていた別の車、計3台がトンネルの中で宙に浮かび上がる。
ピエロの力なのだろうか。物を手で触れることなく、重力に逆らって自由に動かすことができるようだ。
私はハンドルを握ったまま、目の前で宙に浮く車に唖然としていた。
「俺の力に到底敵わない。」
そう言うと私目掛けて、前方の浮いた車が頭から突っ込んできた。
「A、避けろ!」
彼の声に、前方の車を避けるため左にハンドルをきった。
車の後輪がキリキリ音を立てている。
避けた車はそのまま、後ろで大きな衝突音と共に横転した。
「あッ…」
すぐさまもう1台の前方の浮いた車がこちらに突っ込んでくる。
よ、避けきれない…!
すると、煉獄さんが刀を下に向け、勢いよく円を描くように天へ振りかぶった。
刀から炎が大きく吹き上がり、車をクッションのように受け止めると、その車はどこにも衝突することなく、道路にタイヤから着地して止まった。
すごい、やった!
アクセルを踏みながら、車の屋根にいる煉獄さんに声を掛けようとすると、後方にいたピエロが突然彼に飛びかかってきた。
ピエロの腕が煉獄さんを切り裂く。
「あっ!」
赤い鮮血と共に、煉獄さんの身体がぐらっと傾く。
彼はバランスを崩すと、私の視界から見えなくなった。
「煉獄さん!!」
胸を刺されるような思いで叫ぶ。
ここから落ちたら命などない。
後ろを振り向くも、彼の姿はもう見えない。
「うーん。死ぬには惜しい男だった。」
車の屋根からピエロの声が聞こえる。
私はショックと悲しさで身体の底から沸き上がる炎のような怒りに、髪の毛を逆立てた。
私は勢いよくアクセルペダルを底まで踏み込んだ。
車が急激に加速し始め、慣性の法則に従い、体がシートに押しつけられる。
「あはっ!そんなに感情をむき出しにして。旨味成分がどばどば出てるよ。」
窓ガラスからピエロが逆さまに覗きながら言う。
「あんたは私が倒す。」
私の視線の先を、ピエロも見る。
トンネルの出口が遠くに見えた。
「ふーん、俺を太陽の下に連れだそうって訳だ。」
すると突然ピエロが大声で笑いだした。
不気味で意地の悪い、高笑い。
「人間は本当に愚かだなぁ。」
そう言うと、間を置くことなく私の頭を掴んだ。
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favo(ふぁぼ)(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉ちゃん!お久しぶりです☆ありがとう〜😆またちょっとずつ書いていくのでよろしくねぇ☆ (2022年12月22日 7時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ふぁぼちゃん、お久しぶりです。完結おめでとうございます。これからも頑張ってね😆 (2022年12月22日 4時) (レス) @page50 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - チェケラさん» こんばんは!チェケラさん、コメントありがとうございます!わー!大好きって言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます!少しずつの更新で待たせてしまい申し訳ないですが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2022年12月14日 0時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
チェケラ - コメント失礼します! favoさんの小説毎日読ませてもらっています!favoさんの小説とっても大好きです! これからも連載頑張ってください! (2022年12月12日 21時) (レス) @page27 id: df31792cbc (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - gn001yukaringoさん» わぁ〜!コメントありがとうございます!とても嬉しくて、また頑張ろうと思えました。ありがとうございます!完結まで頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2022年6月16日 20時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:favo(ふぁぼ) | 作成日時:2021年10月7日 18時