13. 廃墟の病院 ページ13
煉獄さんが車を止めた場所は、廃墟になった病院の前だった。
昔は立派な総合病院だったのだろうが、今はたくさんの窓ガラスに板が打ち込まれており、日中なのに薄暗く不気味に建っている。
煉獄さんと車を降りると、私は建物を見上げた。
最初に事件があった場所はこの病院の中だ。
第一発見者は病院の管理人。
遺体は数日経っていたため腐敗が進んでいた。
また噂だが、現場の鑑識中に女性の幽霊を鑑識の人が見たらしい。
思わず背中がぞくりとする。
「A巡査。」
煉獄さんが落ち着いた声で私を呼ぶ。
「は、はい！」
その手には指によくフィットした黒い手袋をはめ、白いあの刀を持っていた。
「今から中に入るが、君は決して地下には行くな。」
「え、なぜですか？……それにその刀…。」
「この事件は鬼が関わっている恐れがある。鬼は太陽の光で死ぬから日があるうちは人前に出てこない。が、地下は別だ。」
煉獄さんが刀を腰に固定させる。
「いるんですか、鬼が、ここに…。」
私はピエロの顔を思いだし、血の気が引く思いがした。
煉獄さんの手のひらがぽんと私の肩に置かれる。
「君が地下にさえ行かなければ大丈夫だ。」
煉獄が私の顔を見つめながら、目を細める。
「行こう」と彼の力強い声に背中を押され、煉獄さんの後をついて行った。
-------------
ドアを開けると、カビ臭い匂いと病院独特の薬品の匂いが鼻についた。
所々、日の光が差す廊下を二人歩く。
煉獄さんは生地のしっかりとした外国製の黒いシャツを着て、それが気取りにも嫌味にも感じられない。
シャツの肩の広がり方で、その下に確かな筋肉があることを推察できた。
靴音が静かに廊下に響く。
「ここだな。」
煉獄さんが病院のロビーで立ち止まり、ゆっくりかがんだ。
黒ずみかかった血のシミが、床に少し残っている。
それでも現場は思ったより綺麗で、物は何も置かれていなかった。
「鬼の手がかりが何かしらあるかもしれない、病院の中を手分けして隈無く探そう。君は東側を。」
「はい！」
彼の整った顔がキリッとするのを見て、私も気を引き締めるため大きく呼吸した。
もし鬼がいたとしても、地下にさえ行かなければ私は襲われない。
大丈夫、落ち着いて。
用心するように、自分に言い聞かせるように私は東側に向かって歩いた。
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favo（ふぁぼ）(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉ちゃん！お久しぶりです☆ありがとう〜😆またちょっとずつ書いていくのでよろしくねぇ☆ (2022年12月22日 7時) (
レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ふぁぼちゃん、お久しぶりです。完結おめでとうございます。これからも頑張ってね😆 (2022年12月22日 4時) (レス) @page50 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
favo（ふぁぼ）(プロフ) - チェケラさん» こんばんは！チェケラさん、コメントありがとうございます！わー！大好きって言ってもらえてとっても嬉しいです！ありがとうございます！少しずつの更新で待たせてしまい申し訳ないですが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします！ (2022年12月14日 0時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
チェケラ - コメント失礼します！ favoさんの小説毎日読ませてもらっています！favoさんの小説とっても大好きです！ これからも連載頑張ってください！ (2022年12月12日 21時) (レス) @page27 id: df31792cbc (このIDを非表示/違反報告)
favo（ふぁぼ）(プロフ) - gn001yukaringoさん» わぁ〜！コメントありがとうございます！とても嬉しくて、また頑張ろうと思えました。ありがとうございます！完結まで頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2022年6月16日 20時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：favo（ふぁぼ） | 作成日時：2021年10月7日 18時
