11. 煉獄さん ページ11
私は仰天したような声を上げそうになった。
だって目の前には昨夜会った彼が立っているからだ。
「本日より、こちらに出張勤務となった煉獄です。早期解決に向けて全力を尽くしますのでどうぞ宜しくお願いします。」
彼が静かに一礼する。
胸板が厚く背筋が伸びており、見た目の年齢以上に落ち着いて見えた。
誠実さを感じさせる眼差しのせいか、侍みたいだと思った。
「彼は例のバラバラ殺人事件を担当する。まだ犯人の目星もない状態だ、早期解決するよう、皆も彼に全面協力するように。以上だ!」
「うっす!!!」
強面の男達が一斉に声を上げる。
「A巡査。」
課長が私の名前を呼ぶ。私は「はい!」と返事をして駆け寄った。
「今日から君は彼の下について捜査することになった。彼の補佐として警察官の名に恥じぬよう、全力を尽くすように。」
「…はっ!」
動揺する気持ちを押し殺しながら課長に返事をして、煉獄さんの正面に向き合って彼の目を見た。
黄色と焔色の瞳が不純物の混ざらない宝石みたいで綺麗だ。
「Aです。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします。」
体の上部を約15度前に傾け、頭を正しく上体の方向に保ち、礼をする。
心臓は早鐘のようにバクバクと鳴っている。
「うむ、こちらこそよろしく。A巡査。」
彼は目を細めて微笑を口角に浮かべた。
--------------
「どうしてここに煉獄さんがいるんです?」
警視庁の書庫保管庫に彼を連れ込み、扉を閉めて開口一番に聞いた。
「君を守るためにいつも近くにいると、そう言っただろう。」
煉獄さんが段ボールの積まれた棚に肩を預けて腕を組んでニコッと微笑んだ。
「だからって…先に言っといてくださいよ、心臓が止まるかと思いました。」
まだ胸がドキドキと波打っている。
「私がここにいること知ってたんですね。まさか検察官だったなんて…。」
はぁと胸を手で押さえて言うと、ハハハと彼が笑った。
「黙っててすまなかった。だが君が捜査官だったのはある意味ラッキーだった。一日中一緒にいても怪しまれないからな。」
「え…。」
彼の整った顔ではっきりそう言われてしまうと、思わず顔に熱が集まる。
「ここで長話もなんだ、少しドライブにでも行かないか?」
彼がスーツのポケットからキーを取り出して私に見せた。
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favo(ふぁぼ)(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉ちゃん!お久しぶりです☆ありがとう〜😆またちょっとずつ書いていくのでよろしくねぇ☆ (2022年12月22日 7時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ふぁぼちゃん、お久しぶりです。完結おめでとうございます。これからも頑張ってね😆 (2022年12月22日 4時) (レス) @page50 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - チェケラさん» こんばんは!チェケラさん、コメントありがとうございます!わー!大好きって言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます!少しずつの更新で待たせてしまい申し訳ないですが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2022年12月14日 0時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
チェケラ - コメント失礼します! favoさんの小説毎日読ませてもらっています!favoさんの小説とっても大好きです! これからも連載頑張ってください! (2022年12月12日 21時) (レス) @page27 id: df31792cbc (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - gn001yukaringoさん» わぁ〜!コメントありがとうございます!とても嬉しくて、また頑張ろうと思えました。ありがとうございます!完結まで頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2022年6月16日 20時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:favo(ふぁぼ) | 作成日時:2021年10月7日 18時