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彼が毛布を広げると、大人一人分が入る大きさだった。



「おいで。」



煉獄先生が、私に手を差しのべながら声をかけた。



大きな手のひらだ。



私が先生に近づき、そっと手を取る。



彼の手は暖かく、手を繋ぐと私の手を包み込むようにして、何ともしっくりくる感覚があった。



「ここに座って」と言われるまま座ると、彼は私の後ろに回り込み、毛布を自身の肩へ羽織りのように纏う。



そして彼の腕が私の目の前を通りすぎると、急に私の背中は温かな体温に包まれた。



先生が、私の後ろから覆い被さるように、後ろから抱き締めるように毛布ごと掛けてくれたのだ。



「こうすれば、ふたりとも寒くないだろう。」



満足そうに言う彼の膝の間に、私は収まった。



背中から、先生に抱き締められているような感覚になり、彼の心臓の音が聞こえそうだ。



最初は驚いたが、人の暖かい温もりを感じ、ふんわり柔らかい気分になる。



「暖かい。」



だんだん、目蓋が重くなってきた。



ふたりの間に心地よい沈黙が流れる。



「煉獄先生。」



そう呼ぶと、「ん?」と彼が後ろから答える。



煉獄先生の顔は見えないけど、なんとなく彼も眠たいのだろうと思った。



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A先生が呼ぶ声は、心なしかまどろんだ声だった。



「今日はありがとうございます。すごく楽しかったです。」



彼女の言葉に心が喜びで波打った。



「良かった。俺も君と話せて楽しかった。」



A先生ときちんと話をしたのは今日が初めてなのに、こんなにも気の合う女性だと知らなかった。



こんな想いになったのはいつぶりだろう。



何より彼女が背中を俺に預けてくれていることが嬉しかった。



しばらくふたりにおだやかな沈黙が続く。



だんだん、心地いい眠気が誘う。



倉庫の中を月の明かりが、一層明るく照らした時だ。



「好きです。……煉獄先生。」



小さな彼女の声が聞こえた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , キメツ学園   
作品ジャンル:恋愛
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favo(プロフ) - まゆさん» まゆ様☆ありがとうございます(*´∇`*)嬉しいです。少しずつですが、書きしだい更新させて頂きますね(o^∀^o)またどうぞよろしくお願いします! (2021年9月20日 14時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 続きが気になります!更新楽しみにしてます(*^^*) (2021年9月20日 10時) (レス) id: 3becc2e6ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:favo(ふぁぼ) | 作成日時:2021年9月18日 18時

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