30. 鬼舞辻という男 ページ30
記念パーティーは、このホテルが改装、増築され新しく再出発した記念日のお祝いだった。
よく見ると、テレビで見たことあるような政治家さんや芸能関係の方もいてとても豪華なゲストだ。
料理も美しく皿に彩られ、地上30階の窓からは、広い場所に薄く撒かれたような光の粒が見える。
すべてが満足いくような最高の夜だ。
でも、やっぱり心はどこか何か切ない。
「Aさん、楽しんでる？」
ふと、鬼舞辻さんが後ろから声を掛けた。
「楽しんでいます。」
笑って、気持ちを誤魔化す。
「君とビジネスの話がしたい、少し付き合ってくれるかな？」
「はい！分かりました。」
ビジネス…、カフェ経営の話かな。
そう思いながら会場を出ていく鬼舞辻さんの後を追う。
『プライベート』とおしゃれな筆記体で書かれたドアを開けると、黒い大理石の廊下に繋がっていた。
以前、鬼舞辻さんに連れてきてもらった場所だ。
「どうぞ、私の部屋だ。」
そう言われて入った場所は、黒基調のシックな部屋だった。
黒いソファーに黒いテーブルはきっと私の知らない海外から取り寄せた高級品だろう。
テーブルに生けてある赤い彼岸花だけが、部屋の彩りとなっていた。
部屋のドアの側に黒い服を着た大柄の男性が立ち、ドアがばたんと閉められる。
なぜだろう、少し、怖い。
そう思いながらソファーに座らされると、
「Aさん、カフェを辞めて私と一緒に来ないか？」
鬼舞辻さんは開口一番にそう言って、高級そうなデスクの椅子に足を組んで座った。
「え？」
「私は君の素直さと従順さを買っている。すぐに、染められてしまうような白い雰囲気の君にね。」
そう言うと、話を遮るように突然ドアが勢いよく叩かれる。
立っていた大柄の男性がドアを開けると、ひとりのホテルマンが真っ青な顔をして入ってきた。
「鬼舞辻様、申し訳ございません！どうかお許しください！」
そう言って鬼舞辻さんの足元に走ってきて土下座をした。
「28階の電気室のスプリンクラーが作動せず、私たちだけではもう火を止められません！早く119番を…」
そう言って顔を上げたホテルマンがﾋｨｯと声にならない悲鳴を上げて絶句した。
大きく見開いた鬼舞辻さんの赤い瞳が殺気を帯びていた。
骨まで刺すような眼差しに私も動けない。
「…連れていけ。」
鬼舞辻さんは大柄の男の人にそう呟いた。
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favo(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さん！いつも声かけてもらい、本当に元気をもらえました、ありがとうございます！素敵な設定なんて言ってもらい私も嬉しかったです☆もし新作できた際にまたお会いできるのを楽しみにしてます☆ありがとうございました！ (2021年8月26日 17時) (
レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。炎柱様が消防士！素敵な設定でした。他の柱の方も登場し、連帯の強さも柱時代と同じだあって、思いました。楽しい作品、ありがとうございました！！新作も楽しみにしています(^.^) (2021年8月26日 14時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - tubinさん» tubin様、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！引き続き頑張りますので、またどうぞ宜しくお願いします☆ (2021年8月23日 15時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さん☆コメントありがとうございます〜！そう言っていただけて私も嬉しいです！ありがとうございますm(_ _)m☆ (2021年8月23日 15時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです！！ 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください！！ (2021年8月23日 14時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：favo（ふぁぼ） | 作成日時：2021年5月19日 13時
