24. 消防本部 ページ24
朝から降り続く雨は止むことを知らず、夜になってもずっと降っている。
さっき、このカフェ近くの道路が一部冠水してしまったらしい。
外に出た時にしばらく通行止めになると道路の電光掲示板に表示されていた。
もうすぐカフェを届ける約束の時間だ。
お店でコーヒーを淹れている間、ずっとあの消防士さんの事を考えていた。
消防本部に、あの消防士さんが所属しているのかどうかも分からないけれど。
もし…会えることができたら何て声をかけよう。
そもそも、私のことを覚えてくれているのだろうか。
毎日たくさんの人を助けているのだ、覚えていなくても仕方がない。
でももし、覚えてくれていたら?
ぜひ今度うちのカフェに招待して美味しい料理を食べてもらおう。
彼の名前や連絡先は知らないけれど、どうしても彼に惹かれてしまう。
まっすぐで燃えるような瞳に、大きな背中。
あの堂々とした立ち振舞いに、爽やかな優しい端正な笑顔で笑ってくれる。
そして忖度なく人のために尽くせる人間としての徳の高さに魅了されてしまう。
好きな人のことを考えている時って本当に幸せな気持ちになるものだ。
彼のように私も誰かの役に立ちたい。
ふと、ピンと思い付いた。
私はデリバリーでお渡しする4つあるアイスコーヒー用カップを一つだけ選ぶと、黒のマジックペンを取り出した。
あの炎のような消防士さんのように人を助けられないけど、カフェ店員ならではの方法なら、私も誰かを喜ばせることが出来るかもしれない。
ペンのキャップを開けて私はある文字をカップに書いた。
ちょっとした遊び心のつもりで。
でもこのカップを選んだ方が、ちょっとでもほっこりとした気持ちになれたらいいなぁ。
そう想いを込めながら。
▽▼▽▼▽▼▽
午後7時、私は消防本部に到着した。
あまりの敷地の広さに驚きながらも、建物に入り入所許可証を貰う。
宇随さんの言っていた会議室に到着するまで何人かの消防士さんとすれ違ったが、あの消防士さんはいなかった。
ドキドキしながら会議室と書かれたプレートを確認してドアの前に立つ。
なぜだろう、緊張する。
胸が高鳴るのを押さえて、カフェの紙袋の紐をきゅっと握りしめた。
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favo(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さん!いつも声かけてもらい、本当に元気をもらえました、ありがとうございます!素敵な設定なんて言ってもらい私も嬉しかったです☆もし新作できた際にまたお会いできるのを楽しみにしてます☆ありがとうございました! (2021年8月26日 17時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。炎柱様が消防士!素敵な設定でした。他の柱の方も登場し、連帯の強さも柱時代と同じだあって、思いました。楽しい作品、ありがとうございました!!新作も楽しみにしています(^.^) (2021年8月26日 14時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - tubinさん» tubin様、コメントありがとうございます!とても嬉しいです!引き続き頑張りますので、またどうぞ宜しくお願いします☆ (2021年8月23日 15時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さん☆コメントありがとうございます〜!そう言っていただけて私も嬉しいです!ありがとうございますm(_ _)m☆ (2021年8月23日 15時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです!! 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください!! (2021年8月23日 14時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:favo(ふぁぼ) | 作成日時:2021年5月19日 13時