9. キンモクセイ《謙虚》 ページ9
藤の花の家紋の宿では、Aが夕食の片付け、お風呂、着物の準備と忙しくしている。
にも関わらずAはいつもより楽しく仕事をこなしていた。
理由はただひとつ、煉獄さんの存在だ。
昨日は初めて会った煉獄さんに突然告白されるなど、怒涛の１日だったが、なぜかとても憎めない明るさと誠実さを感じていた。
なぜあんなに正直にまっすぐになれるのか不思議だけど、あんな真面目に好きと言われると、思い出すだけで顔が熱くなった。
そんなことを思っていると、カラカラと玄関からドアの開く音がした。
急いで玄関に向かうと、私を見た煉獄さんが嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、
「只今、戻った。」
そう言うものだから、私も自然と顔が笑顔になる。
「おかえりなさいませ。」
煉獄さんて笑顔がとても似合う人だなぁ。
そう思っていると、煉獄さんが包みを出した。
「弁当、とてもうまかった！ありがとう！」
弁当箱を私に手渡すと、手にもっていたものを私の胸の前に差し出した。
それは橙色の小さな花がたくさんついた花束。
「キンモクセイという花だそうだ。A殿に渡したくて花屋で買ってきた。」
花の甘い香りが玄関いっぱいに広がっている。
「わー！嬉しいです、ありがとうございます！」
花束を受け取って、花に顔を近づけるとより強い香りがした。胸が高揚するような、でも優しい香り。
ふと、花束に小さなベージュの紙が挟まっているのを見つけた。
開いてみると、
『 けんきょ 』
と文字が書かれている。
「煉獄さん、これは…？」
「あぁ！これは花言葉だ！」
「花言葉！」
「A殿のような花を贈りたかった。
控えめで謙虚なA殿にぴったりだ。」
そう言ってニコッと笑い
「惹かれるような甘い香りも一緒だな。」
その顔を見て私はハッと息を呑んだ。
煉獄さんの微笑みの中に隠微な色香を見たからだ。
目が離せず言葉にできないでいると、煉獄さんが少し照れながらも
「A殿、お腹がすいてしまった！夕食はまだあるだろうか？」
煉獄さんの言葉に我に返り、
「あ、ありますよ！ちょっとお待ちください！」
胸が高鳴るのを抑えながら、お勝手に急いで向かった。
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favo(プロフ) - にこさん» にこ様、最初から最後まで応援していただきありがとうございました☆そう言って頂けて私も嬉しいです(*´▽｀*)ありがとうございます！短編集もまた書けましたらお知らせしますので、またどうぞよろしくお願いします☆ (2021年5月21日 8時) (
レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れさまでした(^^)すごくよかったです！！とにかくよかったです！！温かくて愛の溢れる作品でした★短編のほうも楽しみにお待ちしてます！これからも応援してますので頑張って下さい。新作も読ませていただきますね♪ (2021年5月20日 12時) (レス) id: 4f5310af0f (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - 衣世さん» 衣世様、最初から最後までたくさん応援してもらいありがとうございました！元気をもらい、無事完結できました笑(*´▽｀*)また更新した時はどうぞよろしくお願いします☆ありがとうございました！ (2021年5月17日 18時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 完結おめでとうございます！二人とも幸せで良かった(^○^)短編集も楽しみにしてます！ (2021年5月17日 18時) (レス) id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉様、コメントありがとうございます！本当に煉獄さんは生きていてほしいと思いました！私の中には生存ifしかありません笑(*´▽｀*)新作、また読んでいただけますと嬉しいです！ありがとうございました☆ (2021年5月17日 18時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：favo（ふぁぼ） | 作成日時：2021年4月2日 0時
