29. クチナシ《喜びを運ぶ》 ページ29
「列車、ですか？」
「うむ、無限列車だ。」
「無限…列車。」
お館様から、昨日任務を言い渡された。
一般隊士を向かわせたが、音信不通になり、恐らく強い鬼がいるかも知れないそうだ。
柱の者が行かなければならない程の鬼だと十二鬼月だろう…。
それを話してしまうとAを不安にさせてしまうのではないか。
寂しい思いをさせてしまうのではないだろうか。
鬼殺隊には避けられない怪我を負ってくるかもしれないのだから。
ふとAが口を開いた。
「それは遠くまでいく列車なのですか？」
「ん？」
「いえ、その、無限というのでどこが最終駅になるのかなと思いまして。煉獄さん、いつ戻るのかなと思って。」
前回の任務が長期に渡ったせいか、なんとも真面目に無限となるとどこまで行くのかを真剣に考えているらしい。
「フフ、ッハハハハ！」
愛しさが込み上げて思わず笑ってしまった。
Aがキョトンとしている。
「Aはかわいいな、本当に好きだ。」
「え？」
Aはなぜ笑っているか分からず、困ったように顔を赤らめた。
「無限列車というのは、その列車の名前だ。」
Aは一瞬固まって、思考を巡らせた後、フフフと恥ずかしそうに笑った。
いつの間にか考えていた不安は消え、Aと一緒にいられる喜びが舞い戻ってきた。
本当に愛々しい女性だ。
「喜び」という言葉にフッと思い出し、Aの前に花束を差し出した。
純白の色をした六弁の花びらからなる大きな花。
「今日Aに渡したい花だ！」
「わぁ！クチナシの花ですね！」
Aが花に顔を近付けて、香りをくんくんと楽しんでいる。
「いい香り、ありがとうございます！」
花束にくっついていたクリーム色の便箋をAが開いた。
「『よろこびをはこぶ』…。」
「A」
俺が呼ぶとAはいつも綺麗な瞳で見つめる。
「俺は戻ってくる。長い任務だったとしても、俺はAの元へ帰ってくる。
だから、待っててくれるだろうか。」
ぱぁっと笑顔を咲かせてAが笑う。
「はい、もちろんです。私は待ってますから、安心してください。」
そう言ってAはクチナシの花を大事そうに抱きしめた。
ゆらゆらと揺れるクチナシが幸せだと言っているように見えた。
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favo(プロフ) - にこさん» にこ様、最初から最後まで応援していただきありがとうございました☆そう言って頂けて私も嬉しいです(*´▽｀*)ありがとうございます！短編集もまた書けましたらお知らせしますので、またどうぞよろしくお願いします☆ (2021年5月21日 8時) (
レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れさまでした(^^)すごくよかったです！！とにかくよかったです！！温かくて愛の溢れる作品でした★短編のほうも楽しみにお待ちしてます！これからも応援してますので頑張って下さい。新作も読ませていただきますね♪ (2021年5月20日 12時) (レス) id: 4f5310af0f (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - 衣世さん» 衣世様、最初から最後までたくさん応援してもらいありがとうございました！元気をもらい、無事完結できました笑(*´▽｀*)また更新した時はどうぞよろしくお願いします☆ありがとうございました！ (2021年5月17日 18時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 完結おめでとうございます！二人とも幸せで良かった(^○^)短編集も楽しみにしてます！ (2021年5月17日 18時) (レス) id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
favo(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉様、コメントありがとうございます！本当に煉獄さんは生きていてほしいと思いました！私の中には生存ifしかありません笑(*´▽｀*)新作、また読んでいただけますと嬉しいです！ありがとうございました☆ (2021年5月17日 18時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：favo（ふぁぼ） | 作成日時：2021年4月2日 0時
