鉄杭の襲撃 4 ページ48
「納得いかねえよ!オレはあいつら潰さなきゃ気がすまねぇ!!」
吠えるような声でナツが不満を訴える。ハッピーやグレイ、エルザも同じ気持ちなのか、誰もナツの行動を咎めようとはしなかった。
「この話は終わりじゃ。上が直るまで、仕事の受注はここでやるぞい」
これ以上議論する気はない、とトイレに立つマカロフ。その背中を黙って見送りながら、ナツは拳を握りこんだ。
「何で平気なんだよ……じっちゃん……」
その様子を見かねて、悲しげな表情で話を聞いていたミラが再び口を開く。
「ナツ……悔しいのはマスターも一緒なのよ。
だけど、ギルド間の武力抗争は評議会で禁止されてるの」
「先に手ェ出したのあっちじゃねーか!」
「そういう問題じゃないのよ」
淡々と諌めるように、それでいて自分自身にも言い聞かせるように言葉を紡ぐミラ。
『ファントム』の蛮行に憤っているのは、ナツたちだけではないのだ。
「マスターのお考えがそうであるなら……仕方、ないな……」
どうしようもない感情を抑え込み、先程までマカロフが座っていた場所を見つめながら、エルザは唇を噛んだ。
その後、罰として予想されていた『アレ』もなしにほぼ無罪放免となったAたちは、あまり喋ることもなく、ぱらぱらと解散していった。
それぞれに割り切れない気持ちの蟠りがあるのだろう。Aだって、フィニス・カルデアが襲撃に遭って氷漬けにされたことを思い出すと、胸の奥が焦げ付くように痛む。きっと、それと同じなのだ。
とにかく今は、ガルナ島の一件での傷や疲れを回復することが最優先である。家路の途中で食材や日用品を買い足しながら、Aたちは『ファントム』についての雑談を交わしていた。
「ファントムかぁ。どんなギルドなんだろうね」
「善悪を判断するにはまだ情報が足りませんが……あまり、深く関わらないほうが良いかと」
「週ソラ……だったっけ。前にルーシィに見せてもらった雑誌に、ちょこっと書いてあったなぁ。すごい強い魔導士が四人……五人?いて、ギルドマスターもなんか偉そうな称号を持ってる……みたいな」
今回は建物の破壊だけに留まったが、次がないとは限らない。相手の出方を伺うためにも、ここは大人しくしておいたほうがいいだろう。
「うーん……用心するに越したことはないかも。しばらくは、あんまり単独行動しないようにしようか」
そんなAたちの遥か後方。
三人の様子を見ていた何者かが、音もなく路地裏へと姿を消した。
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (9月15日 7時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
空思鳴(プロフ) - 暇だと思ってるマンさん» 励みになるコメントをありがとうございます。いつかやってみたいと思っていた組み合わせなので、書いていてとても楽しいです(設定の擦り合わせなどは大変ですが…)。多忙につき少しずつの更新になりますが、楽しんでいただけたら作者としても幸いです。 (2021年1月20日 3時) (レス) id: 962df50755 (このIDを非表示/違反報告)
暇だと思ってるマン(プロフ) - とても面白いです!FateとFAIRYTAILは系統が似てるのでとても合っていますね!!更新、楽しみに待っています! (2021年1月8日 18時) (レス) id: 92ab665feb (このIDを非表示/違反報告)
空思鳴(プロフ) - りんりんさん» こんにちは。温かいコメントをありがとうございます。今後も少しずつ更新していく所存ですので、最後までお付き合いいただけると幸いです。 (2020年12月10日 20時) (レス) id: 962df50755 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - こんにちは!初見で一気に読み進めました!更新、楽しみにしてます! (2020年12月10日 20時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年12月9日 1時