鉄杭の襲撃 3 ページ47
「よっ、おかえり」
地下スペースの最奥。木箱にクロスを敷いただけの簡素なテーブルの上で、ギルドマスターのマカロフが一行に声をかける。
その手には鉄製のジョッキが握られており、やや紅潮した顔から、その中身は酒の類であろうことが容易に察せられた。
「じっちゃん!酒なんか呑んでる場合じゃねえだろ!!」
怒りと困惑の混ざったような表情でナツが詰め寄ると、マカロフはいつもの平坦な調子で「おー。そうじゃった」とジョッキを置いた。
「おまえたち!勝手にS級クエストになんか行きおってからにー!!」
「え!?」
「はァ!?」
「そ、そっち……!?」
ギルドの惨状などまるで意に介していないような素振りで、『罰』と称した軽いチョップをナツたちに与え、話は終わりだと言わんばかりに再びジョッキへと手を伸ばすマカロフ。
その態度に納得のいかない面々……特にナツとエルザは、即座に彼へと抗議の声をあげた。
「マスター!今がどんな事態かわかっているんですか!」
「ギルドが壊されたんだぞ!!」
ギルドのメンバーとはあまり付き合いの長くないルーシィやAたちでも、普段のナツたちの様子から彼らがいわゆる古参……長くこのギルドに在籍している魔導士であることは既に何となく理解している。
ゆえに、第二の実家とも呼ぶべき大切なギルドが壊されたことには、誰よりも強い憤りを感じるのかもしれない。
しかし抗議の声を受けたマカロフは、なおも平静を保ったまま「まあまあ落ち着きなさいよ」と頬杖をついた。
「騒ぐほどのことでもなかろうに。
ファントムだぁ?あんなバカタレ共にはこれが限界じゃ。誰もいねえギルドを狙って、何が嬉しいのやら」
「誰もいないギルド……?」
Aが首を傾げると、近くにいたミラが「襲われたのは夜中らしいの」と補足した。
「では、怪我人は出なかったわけですね」
「不幸中の幸い……ってやつ?」
アルジュナと鈴鹿御前が神妙な面持ちで頷く。損害は物的なものだけ、さらにギルドのメンバーに直接の被害はない……そう考えると、マカロフの平然とした態度にもどこか納得のいくものがある。
『ファントム』に対する言及の仕方から、良くも悪くも対応に手慣れている感じがするのは気のせいだろうか。
「不意打ちしかできんような奴等に目くじら立てる事はねえ。放っておけ」
彼がそう言い終わると同時に、ダン!と力一杯に木箱を叩く音が地下スペースへ響き渡った。
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (9月15日 7時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
空思鳴(プロフ) - 暇だと思ってるマンさん» 励みになるコメントをありがとうございます。いつかやってみたいと思っていた組み合わせなので、書いていてとても楽しいです(設定の擦り合わせなどは大変ですが…)。多忙につき少しずつの更新になりますが、楽しんでいただけたら作者としても幸いです。 (2021年1月20日 3時) (レス) id: 962df50755 (このIDを非表示/違反報告)
暇だと思ってるマン(プロフ) - とても面白いです!FateとFAIRYTAILは系統が似てるのでとても合っていますね!!更新、楽しみに待っています! (2021年1月8日 18時) (レス) id: 92ab665feb (このIDを非表示/違反報告)
空思鳴(プロフ) - りんりんさん» こんにちは。温かいコメントをありがとうございます。今後も少しずつ更新していく所存ですので、最後までお付き合いいただけると幸いです。 (2020年12月10日 20時) (レス) id: 962df50755 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - こんにちは!初見で一気に読み進めました!更新、楽しみにしてます! (2020年12月10日 20時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年12月9日 1時