ハルジオンの海賊船 3 ページ11
突然の拒絶に驚いたAは、その場に立ち止まって瞬きを数回繰り返した。
確かに、S級の資格を持たぬ者が呪われた島に行ったところで、何かできるわけではない。
彼らが窮地に陥っていても、手助けできることなどほんのひと握りだろう。
しかし渦中の人物たちは皆、少なからず関わりあいのある__もしくは恩義のある者である。
自らに良くしてくれた人を見捨てるほど、Aは薄情な女ではなかった。
「嫌だ、帰らない」
「…何だと?」
Aを見るエルザの目が鋭くなる。
だが、Aは決して臆しない。
「無理なお願いだっていうのは分かってる…けど、お願い。私たちも連れて行って」
「何故だ?お前たちには関係の無いことだろう」
「関係あるよ。同じギルドの仲間でしょ」
バッサリ切り捨てようとしてくるエルザに対し、Aは始終彼女の目をまっすぐ見つめたまま、毅然とした態度を崩さずにいた。
その胆力に驚いたエルザが僅かに目を見開いたのを好機と察したAが、最後のひと押しとばかりに「それに」と言葉を続ける。
「それに、ルーシィは私の
そう言って笑んだAに毒気を抜かれたエルザは、しばらく考えた後に「私から離れるなよ」とだけ言い残し、再び振り向いて待機していた下っ端海賊がいる場所へと歩き始めた。
どうやら同行は許されたようだ。
「流石ですね、マスター」
「もう心臓バックバクだけどね…」
自分の事のように誇らしげに笑うアルジュナに、Aが眉を八の字にして笑い返す。
「だーいじょうぶだって!呪われた島だろうが悪魔だろうが、私とジュナっちがいれば余裕っしょ!」
「ありがとう、鈴鹿ちゃん。頼りにしてるよ」
そんな会話を交わしながら船へと続くブリッジを半分ほど登ったところで、一行は船のほうからドゴォン、というとんでもない音が響いてきたのを聞いた。
急いで音の発生源であろう船の甲板へと向かうと、折れたサーベルとボコボコにされた海賊たちがあちらこちらの床に転がっている。
まるで恐ろしい怪物に襲撃されたかのようだ。
「直談判って言ってなかったっけ、エルザ…」
「マスター、これは肉体言語での談判かと。
…平和的な解決法として成立するのかは、些か疑問ですが」
「とりあえずバスターで殴るタイプかぁ…」
アルジュナの言葉を受けて深く考えることを放棄したAの視界には、何故かパンツ一枚にされている船長らしき男に二刀流で躙り寄るエルザの姿があった。
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (9月15日 7時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
空思鳴(プロフ) - 暇だと思ってるマンさん» 励みになるコメントをありがとうございます。いつかやってみたいと思っていた組み合わせなので、書いていてとても楽しいです(設定の擦り合わせなどは大変ですが…)。多忙につき少しずつの更新になりますが、楽しんでいただけたら作者としても幸いです。 (2021年1月20日 3時) (レス) id: 962df50755 (このIDを非表示/違反報告)
暇だと思ってるマン(プロフ) - とても面白いです!FateとFAIRYTAILは系統が似てるのでとても合っていますね!!更新、楽しみに待っています! (2021年1月8日 18時) (レス) id: 92ab665feb (このIDを非表示/違反報告)
空思鳴(プロフ) - りんりんさん» こんにちは。温かいコメントをありがとうございます。今後も少しずつ更新していく所存ですので、最後までお付き合いいただけると幸いです。 (2020年12月10日 20時) (レス) id: 962df50755 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - こんにちは!初見で一気に読み進めました!更新、楽しみにしてます! (2020年12月10日 20時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年12月9日 1時