転移、合流、そして野営 2 ページ7
一方その頃。
「マスター!どこですか、マスター!」
草木をかき分け獣道を進み、アルジュナは持ち前のよく通る声で自らの主を探していた。
生前の森暮らしの経験から野山を駆けることに関して何の支障もない彼は、ここが見知らぬ土地であることを知りながらも勇猛果敢に突き進んでいく。
普段ならばマスターの魔力を感知して、あるいは魔力を感知できずとも自身のスキル『千里眼(射手)』による広範囲の透視を使って、即座にマスターを見つけ出すことなど造作もない。
しかし今はどういうわけかそのスキルが不調を起こし、千里眼を使用すると視界の端々にノイズが走るようになってしまっている。
故に彼は、自分の足でAを探し回るという初歩的な捜索手段に出たのだ。
「マスター!聞こえていたら返事をしてください!」
「マスターじゃないけど助けてジュナっち〜!!」
彼の耳に届いたのは、聞き覚えのある鈴のような声。
「その声は…鈴鹿!どこにいるのです?!」
「上!上にいるから早く助けるし〜!」
その声に従ってアルジュナが上を向くと、一際大きな樹木の一枝に、鈴鹿御前が首根を掴まれているかの如く引っかかっているのが目に入った。
「…貴女なぜそのような場所にいるのですか?」
「好きでこんなトコぶら下がってるワケないでしょ!?」
じたばたと藻掻く彼女に対して呆れとも安堵とも取れる溜息を吐いた後、アルジュナは手に持っていた弓___神弓ガーンディーヴァを構えた。
狙う先は、鈴鹿御前が引っかかっている枝の根元。
「破ッ!」
蒼炎一閃。その一矢は寸分の狂いもなく目標を粉砕し、枝から解放された鈴鹿御前がふわりと彼の横に降りてくる。
「た、助かった〜!ありがとジュナっち!」
「まったく貴女というひとは…」
少し恥ずかしそうに笑う彼女に毒気を抜かれたアルジュナは、やれやれと自らの額に手を当てた。
しかしいつまでもここで呑気に立ち止まっている訳にはいかない。
ここに鈴鹿御前がいたということは、Aはたったひとりでこの森をさ迷っているということ。
アルジュナの焦燥を感じ取ったのか、鈴鹿御前の表情が普段あまり見せない真剣なものに変わる。
「無事かな、マスター」
「早く見つけて合流しましょう。
徒に怪我を負わせないためにも」
2人が歩きだそうとしたその時、近くにあった茂みがガサガサと音を立てて揺れた。
敵かもしれない。そう思った2人は茂みから距離を取り、身構える。
そこから顔を覗かせたのは___
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年8月26日 16時