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転移、合流、そして野営 1 ページ6

『___ちゃ_、_____ちゃん!
________Aちゃん!!』

「んん…」

自らの名を叫ぶ誰かの声が聞こえたような気がして、Aは混濁する意識を現実へと呼び戻した。

「ダヴィンチちゃん…?」

『よかった!大丈夫?怪我はない?』

「うん、とりあえず大丈夫。でも…」

起き上がって擦り傷のついた腕をさすりながら、Aは視界に入った謎の光景に首を傾げた。
レイシフト先でも見たことの無い変な植物が生い茂り、斑の葉を踊らせている木々には毒々しい模様の果実がたわわに実っている。
ここは森の中だろうか。

「ここどこ…?」

ふと周囲を見回してみると、鈴鹿御前もアルジュナもいない。
レイシフトの座標がズレてサーヴァントと別のポイントに飛ばされることは、今までも往々にしてあったし最早すっかり慣れている。
しかし突然見知らぬ場所にひとり放り出されれば、歴戦のマスターでも流石に不安になる。

「アルジュナ…?鈴鹿ちゃん…?」

控え目な声で2人の名を呼ぶ。
しかし明確な返答はない。

『幸いこの通信は特に問題なく繋がるようだ。
魔力探知で2人を探そう』

そう言ってダヴィンチは探知用のレーダーを起動させた。
ピコンピコンという間の抜けた電子音が辺りに響く。

『___むむ?』

「どうしたのダヴィンチちゃん」

『…Aちゃん、いい知らせと悪い知らせがある』

「じゃあ悪い知らせからで」

即答で切り返したAに、ダヴィンチは衝撃的な事実を告げた。

『魔力探知レーダーが正常に機能していない』

「…いい知らせのほうは?」

『2人はわりと近くにいるみたいだ…たぶん』

「たぶん?」

『うーん…』

ダヴィンチが困ったように唸り声をあげる。
いま起こっている異常事態をAにどうやって説明するべきか考えているようだ。

『…厳密に言うと、レーダーはちゃんと魔力探知を行えているんだ。
でも探知範囲のあちこちにジャミングが発生していて、2人の魔力反応がそこかしこにダブって見えている』

「正確な居場所までは掴めないってこと?」

『残念ながらね。おそらくそちらの大気中に漂う魔力の質が、今までに観測してきたどの魔力とも異なるものだからだろう。
こちらで解析してみるから、少しその周辺を歩いてみてもらえるかい?』

「わかった」

Aは短い返事をして立ち上がり、スカートについた土をぱんぱんと手で払った。

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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年8月26日 16時

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