琥珀のお守り 4 ページ50
「その様子だと、嬢ちゃんは自らの手で誰かを傷つけたことの無い、心優しき魔導士なのじゃろう。…しかしな、この国の各地に蔓延る魔導士は、優しいやつらばかりじゃあない」
丁寧に拭かれたダガーホルダーが、老人の手から離れて宙に浮いた。
それと同時に、Aが持っている箱の中に入っていたダガーもふわりと浮かび上がる。
「持っていきなさい。嬢ちゃん自身を守るためにも。そして、大切なモノを守るためにも」
老人がそう言って自らの右手と左手を組むと、ホルダーとダガーもそれに呼応するかのように一体化し、そのままAの腰にぐるりと巻きつく。
ダガーホルダーはAの腰の左側にダガーを落ち着かせ、自らモゾモゾ動いて長さ調節をした後、完全に沈黙した。
「(まるで生きてるみたいだ…)」
話の流れのまま取り付けられた腰元の武器を呆然と見つめるA。
突然のことに戸惑いを隠せないでいる彼女を不安にさせまいと、老人は朗らかに笑った。
「まぁ、護身用とでも思ってくれればよい。
その剣に埋め込まれた琥珀は少しばかり特殊でのぅ、きっと嬢ちゃんに幸運をもたらしてくれるぞぃ」
彼のその態度を見て、もはやこのダガーを突き返すこと自体が非礼になると判断したAは、ありったけの感謝を込めて深く頭を下げた。
「おじいさん、ありがとうございます。この剣…大切にします」
「礼なんぞ、ワシのような老いぼれには勿体ないよ。それより早く仲間のところへ行きなさい。嬢ちゃんのこと、待っているのではないかぇ?」
「あっ、そうだった!
おじいさん、本当にありがとうございました。あと、お騒がせしました!」
「よいよい。時間があったらまたおいで。あの狐の嬢ちゃんにも、まだ紹介しきれてない品物が沢山あるでのぅ」
優しい笑顔を浮かべながらゆったりと手を振る老人に見送られ、Aは挨拶も程々に魔法屋を出る。
仲間を探して周囲を見渡す彼女の腰に下げられた黄金色の琥珀が、西に傾きつつある太陽の光を受けてキラリと美しく瞬いた。
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年8月26日 16時