思い出深き新礼装 2 ページ41
その様子を見送った後、Aとアルジュナもそれぞれの服が入った包みを開いていく。
「これは…何と言うか、その…」
飾りベルトが前面に3本ついた白いワイシャツに、シンプルな黒色のミニスカートとタイツ。
白いロングブーツの側面には、服のブランドと思わしき十字架とハートマークの組み合わさった模様が白黒でプリントされている。
多少違うところはあれど、そのコーディネートは魔術礼装・カルデアのそれと酷似していた。
「すごく、見覚えのある衣装ですね…」
アルジュナの呆れたような声にAが横を向くと、彼の手にはやはり既視感のある洋服が握られている。
白ベースの中で袖口やフードなどの一部分のみ黒色のロングパーカーに、グラデーションが美しいブルーのインナー。
さらにパーカーによく合う黒のズボンと、歩きやすそうなモノクロのスニーカーが揃えられていた。
明らかに概念礼装・英霊紀行で大阪へ旅行に行った際に彼が着用していたものに似せられている。
Aも居たとはいえ、生前からの宿敵との旅行でもあった当時の記憶を思い出してアルジュナが苦い顔をしていると、着替えを終わらせた鈴鹿御前が戻ってきた。
「じゃーん!どう?いい感じ?」
その場でくるりと回転してみせた彼女が着ていたのは、深紅のタンクトップに白いメッシュトップス、デニムのショートパンツと茶色のサンダル。
こちらも、概念礼装・英霊紀行で滋賀へ旅行に行った際に彼女が着用していたそれとよく似ている。
「鈴鹿ちゃん、これ本当にこっちの世界のファッション誌に載ってたの…?」
「私も最初に見たときは驚いたし。
でも、たまたま見つけたってトコに運命感じちゃってさ。こういうのも、いいかなーって」
驚きを隠せない表情でAが鈴鹿御前に問うと、彼女はメッシュトップスをひらひらさせながら懐かしそうな顔をしてそう答えた。
恐らく滋賀での旅の思い出に浸っているのだろう。
Aはそれ以上は何も言わず、自らの手にある魔術礼装・カルデアによく似た服にかつてのカルデアの記憶を重ねる。
大きすぎる喪失と、残された小さな希望。
それを的確に表すようにブーツに刻まれた十字架とハートのブランドマークを見て、何故かふと悲しい笑みが零れた。
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年8月26日 16時