竜殺しの少年 2 ページ34
「ふーん、そんなことがあったんだ。
それで、スティングが最強だっていうのを証明するために、ここで特訓してるってわけね」
「そうです!スティング君は世界中の誰にも負けない、最強の魔導士になるんです!ハイ!」
尻尾の先まで興奮を漲らせ、ぴょんぴょん飛び跳ねながら力説するレクター。
数十分にも及んで褒め称えられた当の本人は、少し照れたようにそっぽを向いている。
「世界中の誰よりも…ね。思ったよりビッグな夢持ってんじゃん。
ねぇ、よかったら私が相手してあげよっか」
鈴鹿御前は胡座をかいて知らん振りをしていたスティングの襟首を掴み、自分の目線と同じくらいの高さにぶらーんと吊り下げる。
子猫を扱うようなその仕草にAが制止をかけようとした瞬間、スティングの瞳がキラキラと輝いた。
「いいのか!?」
「もっちろん!言っておくけど私、けっこう強いからね?」
「おぉ、望むところだ!」
「じゃあ外に出なよ。軽ーく捻ってあげるし!」
意気揚々と小屋の外へ飛び出していく2人。
静まり返った部屋の中で口を開けて顔を見合わせていたAとレクターは、外から聞こえてきた轟音と地響きによって我に返り、慌ててドアを開けた。
いくらカルデア最強のセイバーとはいえ、ドラゴンを倒した実績を持つ少年と1対1で戦えばどうなるか分からない。
もし鈴鹿御前の霊核が傷ついてしまったら。
もしスティングに取り返しのつかない怪我を負わせてしまったら。
「鈴鹿ちゃん!」
Aが彼女の名を叫んで音のした方向を見ると、そこには大きなクレーターがひとつ。
その中心でプスプスと白煙を立ち登らせているのは__
「スティング君!?」
レクターが半泣きでクレーターに駆け寄る。
見た目ほどダメージを受けていないのか、うつ伏せに倒れていたスティングはゆっくりと立ち上がり、大きく息を吐いた。
元々フワフワだった彼の金髪は、爆発でもしたのか更に膨れてアフロのようになっている。
「…おいアンタ!武器使うなんて反則だろ!」
「誰も素手で相手するとか言ってないしー!」
遠くからそう声をかける鈴鹿御前の手には、彼女が愛用する太刀、顕明連が握られていた。
文句をつけられた鈴鹿御前は面白そうに口角を上げ、あろうことかスティングを煽りだす。
「それとも何?か弱いJKに、一撃食らわすことすら出来ないってカンジ?
そんなんで世界最強とか、マジウケるんですけどー!?」
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年8月26日 16時