フルール通りの休日 3 ページ30
「作戦は簡単。私が男性客、ジュナっちが女性客、マスターは子供とか夫婦をターゲットにして宣伝する。かしこまり?」
店主が発揮した謎の女子力によって数十分で仕立てられた3枚の手描き看板を手に、駅前へ向かう3人。
1番前を歩きながら作戦の内容を語る鈴鹿御前の足取りは、まるで浮いているかのように軽やかである。
「本当にシンプルな作戦だ…」
「でも確実でしょ?
ちゃんと宣伝したら報酬くれるっておじさんも言ってたし、これは頑張らなきゃ損じゃん!」
「まぁ、頼んだ物が物ですからね…」
「とにかく、やれるだけやってみよう」
首から提げた看板の両端をきゅっと握ってAがやる気を見せると、サーヴァント2人も気を引き締め、顔を見合わせて頷いた。
「よーし、じゃあクレープ屋・アイリスの宣伝作戦、開始だし!」
「私は噴水広場の方で声掛けを行いますので、マスターは鈴鹿と離れないようにしてくださいね」
「うん、アルジュナも気をつけて」
雑踏をかき分けて噴水広場の方向へと消えていくアルジュナに手を振り、Aは鈴鹿御前と共に宣伝活動を開始する。
「こんにちはー!ねぇねぇお兄さん、超美味しいクレープ食べてかない?」
鈴鹿御前がフレンドリーな笑顔で2人組の青年に声をかけた。
青年たちは頬を赤らめながら、「じゃあそうしようかな」とあっさり受け入れる。
何かが妙だ。
「やったー!じゃあこれ、お店の場所が書かれた地図になりまーす!」
看板制作の間に3人で作っていた簡素なチラシを手渡し、店を目指す青年たちを見送る鈴鹿御前。
その瞳がやけに輝いている事に気づいたAは、もしかしてと前置きしつつ推測を口にした。
「魔眼、使ってない?」
「え?使ってるけど?」
けろりとした顔で答える彼女にAは脱力する。
鈴鹿御前の保有するスキルのひとつ、魔眼。
それは異性を誘惑する魔術の込められた甘い視線であり、ひとたび魅了にかかってしまえば暫くの間は彼女の思うままにされてしまう恐ろしいスキルである。
普段の戦いでは敵の動きを封じるために稀に使う程度のものであるが、このような活用術もあるとは…Aは鈴鹿御前の適応能力の高さに素直に感心した。
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年8月26日 16時