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桂
召喚式を唱え終わると、部屋の中を眩い光が満たし、風が吹き荒れた。
思わず目を瞑ってしまい、後ろに倒れこむ。
ー本当に英霊は喚べるのか。というかもしやカレンさんはこの召喚式で英霊を喚ぼうとしていた…?
横取りした?と頭の片隅で少し申し訳なく思いながらも光が落ち着くのを待った。
部屋が元の明るさを取り戻す。
恐る恐る目を開き、目線を上げていく。
そこに居たのは、
黒の髪の、琥珀色の瞳を持つ少年だった。
「ルーラー、天草四郎時貞。
問いましょう。貴女が私のマスターですか?」
圧倒的な存在感に、へたれたままの私の腰は上がらない。
先程まで色々考えていたのに、頭の中から全て吹っ飛んでいった。
「は、い……
私が、あなたのマスター、です……」
これしか言えなかった。
この後どう続けようか回らない頭で必死に考えていたところ、
ズバン!!というふうに部屋の重いはずの扉が一瞬で開いた。
扉の前にいたのは
「なぜ…!なぜサーヴァントを召喚しているのですか、(桂)!」
顔を真っ青にしたカレン・オルテンシアだった。
カレンはこちらへツカツカと歩み寄ってきて、
「安静にしていなさいと言ったはずですが」
と静かに言う。
彼女の剣幕に押されて私の腰はますますへたってしまった。
「すみません……勝手に部屋に入った上に色々物色しそこの本を読みサーヴァントを喚んでしまって。
勝手に部屋に入ったのは、弟が心配しているので帰ろうと思い玄関を探していた折に、中から不思議な風……魔力が流れ出てきて気になったので……
召喚の方は、聖杯戦争に参加したいと思ったので、勝手に召喚してしまいました。
……本当、すみません。」
カレンには後で平謝りしようと、許してもらえなかったら諦めて命令を聞くなりなんなりしようと最初から思っていた。
「………そう、ですか。召喚の魔法陣については気にしなくて良いです。今はもう使いませんし。
魔術師、だったのですね。全く気がつきませんでした。"魔力が全く感じられませんから。"
ですが貴方には、聖杯戦争に参加し、命を捨てる覚悟があるのですか?全てを捨て去る覚悟が。魔術師であるなら多少はあるでしょうが、
ないのであれば、今すぐにその令呪を使い切ってしまうか、私に譲渡しなさい。
つまり。貴方は、死ねますか?」
死。もし私が死んだら。弟は独りになってしまう。私だってまだ生きていたい。
死ねるのか。その問の答えは。
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にに(プロフ) - ありがとぉう!!私、頑張る!!!!!! (2021年8月25日 17時) (レス) id: aa61a44260 (このIDを非表示/違反報告)
ひらめ(プロフ) - もけぺんさん» 面白いです!!これからも応援させていただきます!!!! (2021年8月25日 17時) (レス) id: da5ae24658 (このIDを非表示/違反報告)
もけぺん - そうですよね……言峰さんとか天草くんとか……Fateだとなんか暗いところにいるイメージします笑 (2021年8月24日 14時) (レス) id: aa61a44260 (このIDを非表示/違反報告)
あいでっと(プロフ) - 神父って怖いイメージあるよね… (2021年8月24日 7時) (レス) id: 81182bc18e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺんぎん | 作成日時:2021年8月24日 6時