明治文豪錬伽 (ページ10)

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第十話ページ10

その瞬間、四人が動揺でフリーズした。
特に師匠は動揺しているようだ。すぐに回復した他の三人とは違って未だにフリーズしている。

「紅葉。おーい」

露伴先生が呼び掛けるが反応はなし。

「おや、これはダメなようだね…」

坪内さんが苦笑しながら先生を見る。
すると、つかつかと鏡花が僕のところまで歩いてきてがしっと僕の肩を掴んだ。

「どうするんですか、秋声」

『先生が固まられてしまいました！』と鏡花が切羽詰まった声で言ってくる。

「いや、僕に聞かないでよ」

『君だろ、僕に丸投げしたの』と彼に言えば、『ですが！』と噛みついてきた。

「だからと言ってあそこまで簡単に纏めなくても─────」
「鏡花」

そんな彼を師匠が止めた。どうやら僕らが言い合いしている間に回復したらしい。

「紅葉先生」

師匠の姿を見て鏡花が近くに寄り添った。

「何、少々動揺しただけだ」

…『少々動揺』などと言いながら、意外と長い時間先程までフリーズしていたのは一体誰だろうか。

「それに二人とも可愛らしいではないか」

師匠がそう言うと赤毛の『泉鏡花』が『はあ！？』と声を荒げた。

「アンタ、僕は男だよ！？何言ってるのさ！？」

顔を真っ赤にして反論する少年を鏡花はキッと睨み付け、今度は少年の方へと歩いて行く。

「貴方！紅葉先生に何て口の聞き方を！」

目くじらを立てられ、少年は『別に僕には関係ないし！』と鏡花に返した。

その隣にいるお下げの『泉鏡花』は二人の言い合いから興味無さげに目を反らして、じぃっと紅葉先生を見つめた。そして一言。

「…『尾崎紅葉』が、女性じゃない…」