第五話 ページ5
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図書館の奥の奥にある【関係者以外立入禁止】の扉を開けると、そこは僕ら文豪の居住スペースである。
ここの廊下は中庭に接している。現在、春真っ只中。椿や桜、ラベンダー、チューリップ、パンジー。そして島崎が誕生日の時に自然主義の皆で渡したアルストロメリアなどが庭を賑わせていた。
「…すごい、ウサギがいる…」
すると少女が歩きながら窓の外に広がる中庭を眺めて呟く。
「ウサギ?」
その言葉に反応した少年も窓際に寄って『おお!』と感嘆の声を上げた。
現在、庭のあちこちにウサギと卵の置物が置かれている。
置いたのは室生さんである。
彼が『もうすぐでイースターだから』と言い出して、それらの置物を置いていったのだ。
そして、それを見ていた武者さんが『じゃあ、僕はウサギの名前が付いた植物を飾っていきますね!』と、志賀さんに頼んで月兎耳やら兎の尾やらを購入して館内中に飾っていたことも思い出した。
そんな他愛のないことを思い出しながら、窓の外に釘付けになっている二人に声を掛ける。
ここで右に曲がらなければ鏡花の部屋にはたどり着かない。
「二人とも。釘付けになってないでさ」
『こっちだよ』と呼ぶと、二人は名残惜しそうに窓の外を見た後、僕の後ろをついてきた。
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あにまるせらぴー(*´∀`)(プロフ) - 続き楽しみです!頑張ってください!(*´`) (2021年7月9日 0時) (レス) id: 99283ce527 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皓月@司書兼指揮官 | 作成日時:2018年8月17日 18時