第十三話 ページ14
色々とあったが、何やかんや談話室に入ることができた。
厄介事に巻き込まれている感が否めないが、無頼派の皆や江戸川さんあたりが入ると更に厄介なことになるのでまだマシと言えよう。…多分。
…と、僕が頭痛に苛まれながらもそんなことを考えているうちに話が進んでいたらしい。
「私の知っている『国木田独歩』は金髪で、いつも仕事を放って玉川上水に行く太宰さんを『太宰!!』って怒鳴ってる。
あと自分の理想やら何やらを書いた『理想手帳』っていうのを持ってる」
「ほう」
全く話の脈絡が分からないが、お下げ鏡花が国木田と話していた。
どうやら推測するにお下げ鏡花の世界にも『国木田独歩』がいるようだ。国木田がどこか楽しそうに声を漏らすと、少女に目を合わせて聞く。
「何だ、そっちの独歩さんは太宰をよく叱り飛ばしているのか?」
「うん」
その質問に彼女がこくりと頷いて、更に衝撃的な言葉を続けた。
「それに敦の話だと『田山花袋』は引きこもっているって聞いた」
「…ぶはっ!!」
二度目の爆弾投下。
少女の言葉に国木田は吹き出し、腹を抱えてゲラゲラと笑い出す。親友と同じ名前を持つ奴が引きこもりになっていることがツボに入ったらしい。
田山は、というと恥ずかしそうに顔を赤らめて、『はぁ!?』と声を上げた。
「だから、こんな快活な『田山花袋』は初めて…」
「良かったね、花袋。美少女に『快活』だって誉められたよ」
『ねえ、どんな気分?』とすかさず島崎が田山に聞く。
「ちょっと嬉しかったかな〜…ってうるせえ!」
少し恥ずかしそうに島崎に文句を言う田山。
それを見ていた赤毛鏡花が『うわあ』と言わんばかりの表情をして一言。
「お兄さん、気色悪っ」
その一言に田山がピシリと固まった。
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あにまるせらぴー(*´∀`)(プロフ) - 続き楽しみです!頑張ってください!(*´`) (2021年7月9日 0時) (レス) id: 99283ce527 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皓月@司書兼指揮官 | 作成日時:2018年8月17日 18時