第十一話 ページ11
「「…え?」」
その言葉に僕と師匠はあまりの驚きで聞き返してしまった。
だって今、もの凄く大きな爆弾を投下していったよこの子!?
「…我が、女性?」
ジェスチャーつきで聞かれた言葉に少女はこく、と頷く。
師匠はその答えにふら、とよろめいた。
「師匠!?」
『大丈夫ですか』とその身体を支えて聞くと、先生は力無く笑った。
「いや、この世界には色々な『尾崎紅葉』がいると思うてな」
『少し眩暈を覚えただけだ』と言う師匠。
僕と全く同じ反応だ。それもそうか。
そんな師匠を落ち着かせて周りを見渡す。
「僕だって男だっての!『可愛い』なんて言われたら、男として格好がつかないじゃん!」
「それでも紅葉先生が言われたお言葉ですよ!素直に受け取りなさい!」
…まだ言い合ってるのか、あの二人。よくもまあ飽きないことだ。そんなことを考えていると、こほんと森さんの咳払いが廊下に響いた。
全員の視線が彼に集まる。彼は『すまないな』と申し訳なさそうな顔で謝って話を続けた。
「こうして話しているところ何だが、ここでは色々と話しにくいだろう。談話室に入って話さないか」
彼の鶴の一声で先程まで言い合いしていた二人、特に赤毛鏡花の方がすっと襟を正す。
そんな彼の様子を見て、何処かで見たことのある光景だと思って思い出した。
確かこの図書館に井伏さんが来たとき、太宰さんも彼と同じ行動をしていた。
…成る程、どうやら赤毛の鏡花は森さんを尊敬していて、今でもお世話になっているらしい。
その様子を見て彼は満足げに笑った後、『…あとそれと』と話し出した。
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あにまるせらぴー(*´∀`)(プロフ) - 続き楽しみです!頑張ってください!(*´`) (2021年7月9日 0時) (レス) id: 99283ce527 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皓月@司書兼指揮官 | 作成日時:2018年8月17日 18時