依存という罪 2 ページ44
「どうせあれだろ?お前も羊だろ?じゃあ殺しても問題ないよな。
ズタズタに引き裂いて腸に肉を積めてやろうと変わらねぇんだろ?」
バーサーカーは羊、羊、羊と繰り返し、怨念と困惑が交わり疑惑と化してしまった視線でランサーを眺める。
狂気に満ち、その瞳は異形そのものというように反転している。
それでも呼吸は安定しており、寧ろ先程より一周回って冷静になっている。
呼吸に狂喜が込められ、時おり誰かを嘲笑する声が入る。
「…随分と貶めるものだ。お前こそが羊に等しいというのに」
ランサーは槍を構え半ば呆れたように呟く。
誰の耳にも届かずその呟きは霧散し、しかしながらバーサーカーが先手を打つ引き金になった。
槍の穂先がランサーの腹を刺そうと飛ぶ。
それを防いだランサーもまた反撃。
互いに打ち合い、鉄と鉄の当たる音が闇を揺らす。
穂先と穂先がぶつかり合い、衝撃で引いたと思えば互いの呼吸に合わせるようにまた響く。
互いに力量をはかりあうようなその動きは、拮抗していながら崩れそうでもあった。
それをただ見守ることしかしていなかった如月が、僅かに動く。
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年8月26日 22時